店内で凶行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 14:51 UTC 版)
「名古屋市中区栄スナックバー経営者殺害事件」の記事における「店内で凶行」の解説
このスナックバーの店主は当時61歳の被害者女性で、Bが入店したのは閉店時間(午前0時)直前の午後11時だった。Bが現場スナックを見掛けて店内を覗くと、客はおらず被害者1人がボックス席に座っていた。Bが被害者に営業時間を尋ねると、「12時まで」という答えが返ってきたため、Bは「隙を作らせて金を盗むには時間が足りない」と考えたため、一旦は店を出ようとした。しかし、被害者に「時間は気にしなくていい」という旨を伝えられて引き留められたことから、店内に入りカウンター席に座った。被害者女性は普段、閉店間際に一見客は入れなかったというが、当時はIT不況が尾を引く中、売り上げの落ち込みが気にかかっていたためか、一見のBを店に招き入れた。 Bは日付が変わるまで店内で飲み続け、金を盗む隙を窺っていたが、女性には全く隙がなく、Bがトイレに立ったときでさえ、ドアを半開きにしてBの動きをうかがっていたという。被害者との会話もあまり気分のよいものと感じられなかったことから、Bは翌2002年3月14日午前1時頃には、「他の飲食店を狙った方がいいのではないか」と考え始めるようになり、被害者が「一見の客なんか入れないのに」と言う回数が増えてきたことから、嫌気が差したBは「無銭飲食だけで逃げよう」と考えるに至った。 途中、Bは「タバコがなくなった」として、被害者女性にたばこを外へ買いに行くように仕向けたが、女性は軽くいなし、腰を上げなかった。Bが「仲間を迎えに行ってくる」と言い、店から逃げようと表へ出ても、後をつけてきた女性に引き戻された。 同じ階でスナックを経営する別の女性経営者は「この日の午前1時頃に自分の店を閉めて帰る際、被害者の経営する店から賑やかなカラオケの歌声が漏れ、3,4人の男性客がまだ中にいる様子だった。被害者も店内にいたと思う」と証言した。また被害者は、この女性に事件直前、「客が少なくて暇」「閉店しようか」などと漏らしており、いつもは深夜0時に閉店することがほとんどだったが、事件が起きたこの日は珍しく遅かったという。 翌2002年3月14日午前3時頃、所持金がなかったBは「被害者に嵌められた」と感じ、いらだちを募らせていたところ、トイレから出てきた被害者がBの隣りに座り、またしても「うちは本当は一見さんは入れない」と言い始めたため、Bは「鍵も掛けられちゃったしなあ」と嫌味を言った。しかし、被害者が「私は鍵なんて掛けていない」「私のこと、何とかしようと思って掛けたんじゃないでしょうね」などと答えたことを契機に、「このままでは無銭飲食で刑務所戻りになる」と恐れたBは強盗することを決意し、被害者を椅子ごと引き倒した。 床に仰向けに転倒した被害者は、「初めからおかしいと思ったんだ」などと大声で叫んで抵抗し、Bに左掌で口を押さえつけるように塞がれても、なおも暴れて抵抗した。 Bは被害者の犯行を抑圧しようと、被害者の口を塞いだまま立たせたが、左手親指・人差し指の付け根付近を思い切り噛みつかれ、その手を伸ばして引き抜くと、被害者が再び大声で叫び始めた。 そのためBは、被害者の背後からその首に左腕を回し、自身の左手首付近に右腕を十字に重ねて数分間思い切り引き、被害者の首を絞めた。被害者は初めこそ叫んで抵抗していたものの、Bが首を絞め続け、さらにそのままの体勢で被害者の体を持ち上げて約1分間経過すると、おとなしくなったので、Bは被害者を床に寝かせた。 Bが被害者の息を確認したところ、息は感じられなかったが、被害者を確実に殺害しようとしたBは、その首に店内にあったカラオケのマイクコードを二重に巻き付けた上、コードの両端を思い切り引っ張り、被害者の首を再び強く絞め付けて殺害した。 Bは被害者を殺害後、指紋を消す証拠隠滅を図るため、グラス・カウンターなど、自らの手で触れたところをおしぼりでさっと拭き取ってから店内で現金を探した。その際、カウンター内側の棚に置かれていたポシェットを見つけ、中の千円札8枚・小銭(現金計約8000円)を上着のポケットに入れた。 さらにBは、被害者がわいせつ目的の犯罪で殺されたと見せかけるため、被害者の遺体のスカートをまくり上げ、下着を途中まで引き下ろす偽装工作をした。そして、被害者殺害後に飲んだトマトジュースの空き缶とその場にあったタオルを持ち、タオルで出入口ドアの取っ手等をつかみ、指紋を残さないようにして現場スナックを出た。
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