平取ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/19 00:56 UTC 版)
二風谷湖上端で沙流川に合流する額平(ぬかびら)川には現在室蘭開発建設部によって平取ダム(びらとりダム)の建設が計画されている。ダムは堤高56.5メートルの重力式コンクリートダムであり、総貯水容量は4,500万立方メートルを超え二風谷ダムよりも規模の大きいダムとなる。洪水調節・不特定利水・灌漑・上水道・工業用水・発電を目的とする特定多目的ダムであり、二風谷ダムと同時に計画発表された。 しかしダム建設に対する反対運動は二風谷ダム以上のものであり、水源地域対策特別措置法の指定対象になっても尚反対運動は長引いた。補償交渉が妥結すると今度は公共事業見直しの機運を背景に計画の進展しないダム事業の総点検が行われ、平取ダムは30年近く計画が滞っている事から査定対象となった。その結果2005年(平成17年)国土交通省は平取ダムを含む「沙流川総合開発事業」の見直しを言明している。これに対し2003年8月の水害を経験した多くの地元住民から反発が起こり、計画通りの建設促進要望が高まる等状況は流動的となっている。また2006年3月には、地元のアイヌ民族を中心とした3年間にわたるアイヌ文化調査がひとまずの終了となった。この調査では今後の平取ダム建設に対しクリアすべき多くの課題が示されており、アイヌ文化の保護と流域住民の安全との間で難しい選択を迫られる北海道開発局の今後の対応が注目されていた。 最終的にアイヌ文化・遺跡に対して重要な保護を実施することで2007年(平成19年)、アイヌ関係者などからようやくダム事業の着手への了承が得られ、本格的な施工を行うこととなった。なお、安全面以外の問題として、ダムの左岸はスズランの名所となっているが、堤体の規模が設計通りの場合は群生地の中央にまで延びていて、群生地は消失する。 その後、2009年の民主党政権誕生に伴い、平取ダムは見直しの対象となり、10月9日にサンルダムなど7箇所と共に予算が凍結された。 しかし、民主党下野後に検証が再開され、2013年に予算が復活して基礎工事に着手。2015年に起工し、2024年完成予定。
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