市場アクセス交渉の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:57 UTC 版)
「日米貿易協定」の記事における「市場アクセス交渉の概要」の解説
2019年9月25日に発表された概略 では、日本側は農林水産品の関税についてTPPの範囲内に抑制したとされている。具体的にはコメ関係、粗糖・精製糖のほか、砂糖と競合する加糖調製品や砂糖菓子(チョコレート菓子等)は全面的に除外し、輸入実績がない品目のほか全ての林産品・水産品など幅広い品目について譲許せず、牛肉、豚肉、小麦についてはTPPの同水準としている。酒類はワインのみTPPと同水準の引下げ(ただしビール、ウィスキーはすでに一般税率が無税)。有税工業品は対象外。 コメが含まれなかった理由については、アメリカにおいて主要なコメ産地のカリフォルニア州は、民主党の牙城であるため、トランプ政権がコメについて感心をなかったとの指摘がある。 牛肉等の品目については輸入急増時にセーフガード措置を自動発動できる規定があるが、発動した場合「発動水準をより一層高いものに調整するため協議する」と交換公文で約束 しており、国会質疑でも問題になったが政府は「結果は予断していない」と答弁するのみで議論は深まらなかった。 アメリカ側は、農産品は日本からの輸出関心が高いアメリカ農産品42品目の関税撤廃・削減(醤油、ながいも、柿、メロン、切り花、盆栽等)を行う。自動車・自動車部品についてはアメリカ譲許表に「更なる交渉による関税撤廃」と明記するものの、具体的な関税撤廃期間や原産地規則は規定していない。日本企業の輸出関心が高く貿易量も多い品目を中心に、工業品(産業機械、化学品、鉄鋼製品等)の関税を撤廃、削減。 協定発効によるアメリカの関税削減額については、日本政府は協定発効初年212億円、最終年2,128億円との試算を2018年10月18日に公表した。しかしこの試算には、継続協議となった日本から輸出する乗用車(関税率2.5%)や自動車部品(主に2.5%)の関税撤廃も含めており、これを除くと260億円であると朝日新聞は報道した。この計算については更に、朝日新聞のサイトで計算方法を含め詳しく報道している。自動車および自動車部品の関税撤廃が実現しない場合の試算については、西村康稔経済再生相は19日の閣議後会見で「自動車および自動車部品の関税撤廃が実現しない場合の試算については今後の交渉にも悪影響を与えかねないことから差し控える」と提出を拒否した。 この自動車・自動車部品については、政府の発表では上記のように(協定に)『さらなる交渉による関税撤廃』と明記した」と説明しているが、協定上の表現は”Customs duties on automobile and auto parts will be subject to further negotiations with respect to the elimination of customs duties." であり、「be subject to(~次第である)」という留保の文言が入り、関税撤廃に向けた「約束」としての意味を弱めていると朝日新聞は指摘した。
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