導入目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 08:34 UTC 版)
「要塞砲塔加農砲 (日本軍)」の記事における「導入目的」の解説
砲塔四五口径四十糎加農は、最重要航路である朝鮮海峡に集中配備され、対馬北部、対馬北西部、対馬南部、壱岐北方、壱岐西部、巨済島、釜山港の7砲台が、「朝鮮海峡要塞系」の3要塞(対馬要塞・壱岐要塞・鎮海湾要塞)に別れて所属する計画であった。 これら大口径加農砲台間に相互連絡通信網による協調体制を作る意図はあったが、「朝鮮海峡要塞系」の3要塞の上級司令部を作るのか、先任司令部への配属関係にするのか、観測データの共有だったり、射光機照射連携だったりなのか、単なる海面区画割りだけなのか、詳細は不明である。 「朝鮮海峡要塞系」の3要塞の任務は、遠距離大口径水上砲戦だけの海峡封鎖防備だけでなく、壱岐要塞は佐世保要塞との港湾防備・沿岸防備の連携や、対馬要塞・壱岐要塞は下関要塞との港湾防備・沿岸防備や関門防備、そして鎮海湾要塞には、東京湾要塞・下関要塞同等の重大な港湾防備が求められる。鎮海湾要塞・東京湾要塞・下関要塞は陸側防備必要ないが、対馬要塞・壱岐要塞は自らの離島防備自体の重要任務も持っていた。 離島防備任務は同様に海峡と海面双方を抱える奄美大島要塞・父島要塞・澎湖島要塞とは比にならず、そこに津軽要塞・下関要塞・由良要塞・豊予要塞以上の海峡防備を併せ持つ。そして鎮海湾要塞は、戦時に朝鮮半島南岸の麗水・木浦に設置の臨時要塞との沿岸防備連携の考慮も必要であるという、それぞれの要塞防備任務の内、最重要ではあるが多面任務の中の一つでしかなかったのである。 昭和8年「要塞修正計画要領」では、大陸への交通防備の「朝鮮海峡要塞系」に、3要塞(対馬要塞・壱岐要塞・鎮海湾要塞)に下関要塞加えることで、対馬海峡西水道・対馬海峡東水道・壱岐水道を防備する「朝鮮海峡要塞系」4要塞とする構想に変化している。資料では壱岐水道に同一海面を持つ壱岐要塞小呂ノ島砲台と下関要塞筑前大島砲台との間に、直通電話が設置されたことが確認できる。また、壱岐水道防備海面連続性統一のため、佐世保要塞は平戸砲台を壱岐要塞指揮下に移す等の担当地域の調整が見られる。 そして何より、共通の海峡海面は、朝鮮軍(第20師団)と西部軍(第12師団)の隷下に跨っており、統一指揮下の要塞防備海面とするには広域過ぎ、平時はともかく戦時においても難しい問題である。そのため、海峡封鎖防備の戦略達成の司令部と、戦術達成のための設備という面の砲台連携と矛盾を含んでいる。砲塔四五口径四十糎加農の弾薬、備品だけを見ても補給廠を別々の軍に持たなければならなかった。そもそも朝鮮は外地なので法規的扱いも別になるし、単純に諸手続き・諸手当の問題をとっても難易度は高かった。
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