寓話的解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 03:04 UTC 版)
「メッセージ指向ミドルウェア」の記事における「寓話的解説」の解説
大手の銀行の場合を例として考えると、ミドルウェアがビジネスの要求としていかに成長してきたかがわかる。銀行は1960年代から、顧客に関する全ての情報を大規模なメインフレームに格納していた。このメインフレームは何度かの更新を経て、今も現役で使われ続けている。その後、パーソナルコンピュータ (PC) ベースの独立したアプリケーションで顧客にメインフレームには不可能な新たなサービスを提供するようになると、メインフレームの有用性は減少していった。理想としては、PCベースのアプリケーションとメインフレームのアプリケーションが接続され、メインフレームとPCがデータを共有するのが望ましい。メインフレームのデータにアクセスできれば、次の2つの利点が生じる。 新たなフロントエンドとしてのPCアプリケーションは、古くて使いにくいメインフレーム端末を置換できる。 PCベースのシステムは、メインフレームのデータを従来のシステムでは不可能だった新たな方法で活用できる。 1980年代末まで、これらアプリケーションを相互に接続する容易な方法は存在しなかった。開発者はいくつかの問題に直面した。 ソフトウェア開発者は、2つのシステムを接続するに当たって、送信側から送られてきたデータを受信側で扱える形式に変換するためのソフトウェア「アダプタ」を開発しなければならない(双方向通信なら双方のシステムにアダプタが必要)。 一方のシステムの処理速度がもう一方のシステムを制限する。例えば、メインフレームが遅ければ、PCベースのアプリケーションはメインフレームが追いつくまで待つ必要があり、結果としてPCのアプリケーションの速度が低下する。 通信プログラマは、メインフレームのネットワークとPCのネットワークのプロトコルが異なる場合、ゲートウェイシステムを実装する必要がある。このゲートウェイはパケットの中身を変換して双方のシステム間で通信ができるようにする。 このような問題によってアプリケーションの統合は困難となっていた。また、個々のシステムで状況が異なるため、このような統合は個々のシステム毎に設計が必要である。異機種上のアプリケーション間の連結には、オリジナルのシステム開発以上のコスト(場合によっては10倍)がかかった。 複数のアプリケーションの中間に位置して、それらの間の「配管」をする新たな独立したソフトウェアが必要なのは明らかだった。そのようなソフトウェアは、異なるプラットフォーム、異なるプログラミング言語、各種通信プロトコル、様々なハードウェアを扱える必要があった。すなわち、基盤となるインフラストラクチャーの複雑さを切り離すことで、開発者が個々のアプリケーションの機能開発に注力できるようになる。 1980年代末までにミドルウェアがこれら問題への対策として登場した。初期のミドルウェアはサポートするプラットフォームや言語が限られており、有用性は限定的だった。しかし時間とともにミドルウェア製品は複数のプラットフォーム、言語、プロトコルをサポートするようになり、高度化していった。 異機種混合のネットワーク環境で各システムを連結するというミドルウェアの能力は、この技術の利点のほんの一例に過ぎない。2006年現在、ミドルウェアは相互接続可能な既存アプリケーションを増やし、強化する新たな機能を提供している。
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