実際の原子力事故との係わり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 14:29 UTC 版)
「BWR運転訓練センター」の記事における「実際の原子力事故との係わり」の解説
塩官廣海によると、スリーマイル島原子力発電所事故ではヒューマンエラーが一因となったため、事故以降電力各社の要請により5日間の特別事故訓練コースを設定し、当直長クラスを対象に事故対応訓練の他、保安規程、運転管理基準、安全解析等の学習・討論を行うようにしたという。また、『電気新聞』の取材によると訓練メニューを見直し、個人の技能向上の他チームプレイを重視するようになったという。ファミリー研修も重視され、それまで年1~2回受講するのが通例だったものを、東京電力はチェルノブイリ原子力発電所事故の直前、1986年より年3回受講させることを決定していた。この頃は年2回電力会社、メーカーを交えて経営会議を開いて訓練方法について検討していたが、通産省も含めて関係者の一致した重視点は再訓練となっており、中でも異常時、緊急時対応訓練の時間を増やし、臨場感を持たせる工夫を行っている。 1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故の後、『チェルノブイリ事故は日本でも起きるか』という広報ビデオが撮影され、近藤駿介と宮崎総子が司会を務めながら、BWR運転訓練センターでの訓練風景を撮影している。ビデオのコンセプトは「機械は故障するもの」という前提で多層防護を分かりやすく説明する内容であったが、撮影スタッフ一行を前に実演した事故訓練について近藤は「重要な検出器が二系統とも動作したという想定事故ですが・・・二系統が同時に、なんてまず起こりえませんねえ」とコメントしている。また事故後にソ連崩壊を経て、宮沢喜一は首相時代にロシアに対して原子力発電所の安全性向上のための支援を約束、日露政府間協定に基づき、1993年から1997年まで実施された。その一環としてシミュレータを1台製作して提供することと、教育訓練プログラムの改善が含まれており、後者には電力各社の他NTCやBWR運転訓練センターが参加し、日本で培われた教育プログラムのノウハウによって養成訓練、能力維持訓練、特別安全コース等の改善が行われた。 福島第一原子力発電所事故から7ヶ月後に計測自動制御学会にて発表した共同研究では「今後さらに質の高い訓練を提供するために新たなシナリオを追加するには、無原則に訓練内容を増やすことは非合理的」として有限の時間内で効率的にシナリオ選択を行うように提言している。なお、この東北大学とBWR運転訓練センターが行った研究は、従来のインストラクタによる評価を主観的と位置付けし、訓練時のログデータを主成分分析することなどにより客観的に評価する手法を開発したもので、先行研究で実務レベルで利用可能な評価システムを開発したBWR-5型に続き、ABWRでの評価手法を研究している。
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