宗派別の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 05:25 UTC 版)
下記の特徴の説明は、地域・寺院などの慣習によって異なる場合がある。 律宗 戒名の下に「菩薩」の2字が付く。 天台宗 院号、道号、戒名、位号の順につける。女性の戒名には「妙」号が多く使われる。(例)清秋院天華妙玲大姉 など 真言宗 院号、道号、戒名、位号の順につける。 浄土宗(鎮西派) 誉号は五重相伝を受けた者に対して付けられる。戒名は院号、誉号または空号、道号、戒名、位号の順・院号、誉号または空号、戒名、位号の順・院号、道号、戒名、位号の順の3通りある。 浄土宗西山派 空号は五重相伝を受けた者に対して付けられる。戒名は院号、誉号または空号、道号、戒名、位号の順・院号、誉号または空号、戒名、位号の順・院号、道号、戒名、位号の順の3通りある。 臨済宗 「戒名」の名称を用いる。院号、道号、戒名、位号の順につけるが、院号を付けない場合が多い。足利将軍家はじめ室町以来の大名家の信徒も多く、その場合院号に院殿号を用いる。院号の代わりに軒号を使用する場合が多い。 浄土真宗 「法名」を用いる。「戒名」とは呼ばない。詳細は、「法名 (浄土真宗)」を参照のこと。 曹洞宗 「戒名」または「安名」の名称を用いる。院号、道号、戒名、位号の順につけるが、院号がない場合もある。院号・位号は諡名であり没後に付けるのが通常である。単に△△□□(道号・戒名)の4文字か□□(戒名)の2文字もしくはこれに位号の信士・信女(在家信者の意、禅を行じる信者として居士・大姉を付ける例もある)が付いたものが与えられる。 地方の守護大名クラスの家に信者が多く、院殿号・寺殿号、院号・齋号・寺号が付与されることが多かった。またその有力家臣には院号・軒号を用いる例があった。これらは、寺院の建立や存続に多大な貢献をしていることへの寺院よりある意味礼として付けられ、一般庶民は豪商・豪農の例を除くと一般的ではなかった。庶民まで広まったのは、明治以降の寺院の困窮時期の篤志者や英霊に対して付与したことに始まる。現在は篤志者が賜る。 僧侶の場合は、「道号、戒名」のように表されることが多く、大和尚・和尚(力生)、首座(座元)、上座はなど位階と呼ばれるものは自らは名乗らない。示寂以降に住職ならば「○○寺○○世△△□□大和尚」(住職寺院では○○寺ではなく當山または當寺と呼び換える)、その他の場合は道号戒名に各位階が諡られる形を取る(稀に、高和尚という諡号が諡られることがある)。ちなみに、寺族(曹洞宗の場合は、住職の夫人ないしは未亡人のみを通常指す)の場合は、一般の戒名の法則とほぼ同様となるが、通常は、最後の位号の部分が「禪尼(あるいは常用字体の禅尼)」となる。 時宗 古くは「阿弥陀仏」号を付けた。観阿弥、世阿弥はその崩れである。現在では男性にその略である「阿」号、女性には「弌」(いち)号をつけるのが原則である。阿弥陀仏号は重源が「南無阿弥陀仏」と自称したことを起源とし、成仏したことを意味する。女性も当初は阿弥陀仏号であったが、一遍は「一房」号や「仏房」号を与えた。「一仏乗」からとったという。弌号はその名残りである。 日蓮宗 日蓮宗系では、法華経信者は霊鷲山の浄土に生まれるとされるため、「戒名」ではなく「法号」と呼ぶ。男性へは「法」号、女性には「妙」号などが使われる。 日蓮正宗では、「法号」という言い方も「戒名」という言い方もされている。
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