安宅一統
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「風の市兵衛シリーズの登場人物」の記事における「安宅一統」の解説
安宅 猪史郎(あたか いのしろう) 一統の頭。48歳。元は八王子千人同心組頭の家の部屋住みだったが、部屋住み仲間たちと共に開墾と警固のため蝦夷地の白糠に赴いた。蝦夷地開拓がお上の甘い見通しで始まったために多くの仲間が死んだこと、また窮状を訴えても役人たちはよく調べもせずにそれを断ったこと、そしてお上が責任者を罰しないどころか、口をつぐんで無かったことであるかのように振る舞っていることに憤りを深めていく。そして、蝦夷地の幕府直轄領が松前藩に返還された翌年(文政5年/1822年)、松前奉行も廃止されたのを機に、生き残った仲間たちと共に23年ごしの復讐劇を始めた。 7,8間離れた場所から宮島の額をまっすぐ撃ち抜くほどの射撃の腕前。彼が持つ西洋銃は、命を救ってもらった礼にと雁右衛門から渡されたものである(元々は、お露が祖父の形見としてもらったもので、危ない橋を渡る雁右衛門の身を案じて譲った)。 2度に渡って純明を襲撃し、2度目の襲撃では即死させることはかなわなかったものの純明に槍を突き入れた。そして、市兵衞に介錯を願って自害した。 竹村屋 雁右衛門(たけむらや かりえもん) 安房勝山の出身で、蝦夷と江戸を結ぶ東回り往路の水夫をしていたところ、材木商の吉井屋に引き抜かれて、主人に代わって材木の仕入れを行なうようになった。店は儲かったが、才覚を妬んだ主人と反りが合わなくなり、暖簾分けの名目で竹村屋を始めた。 その後、商売が傾いた吉井屋を居抜きで買い取ったことで、吉井屋が御用商人として出入りしていた奥平家で純明と交流が始まった。2人は意気投合し、いずれロシアとの交易を始めたいと考えていた純明の勧めにより、雁右衛門はロシアとの関係を深めるために抜け荷に手を染めることになる。 文化4年(1807年)、択捉島の番兵に交易品を奪われたため、もう一稼ぎすべく無理をして船を出したところ、白糠沖で竜巻に遭って船と乗員を失ってしまう。その際、安宅らに助けられたことで、彼らが味わった悲劇と現在の窮状を知った。江戸に戻ると、3年間毎年100俵ずつ米を送ったが、蝦夷の役所が課す法外な手間賃や吉岡・宮島による横領のため入植地にはほとんど届かなかった。 文化7年(1810年)に安宅らが江戸に出てくると、金や住まいを用意して養ったが、文化9年(1812年)に純明の政敵の策謀によって、雁右衛門は抜け荷の罪で捕らえられてしまう。その直前、お露に累が及ぶのを避けるために奥女中として純明にゆだねた。純明の尽力で死罪は免れて江戸追放となったが、お露は雁右衛門に同行することを拒み、純明の側室になることになったと聞かされる。そして、安宅らと再会し、彼らが純明に恨みを抱いていることを聞かされると、自らも一統に参加することを決意した。 その後、安宅の兄の口利きで八王子十五宿の横山宿に物産を仕入れて江戸で売りさばく店を構え、白柳屋 文治(しらやなぎや ぶんじ)と名を変え、一統を行商人として雇って支え続けた。それから10年が経ち、現在61歳になる。 1回目の純明襲撃が失敗に終わったとき、自分も次の襲撃に参加することを決めた。しかし、市兵衛から悠之進が実の息子であることを聞かされると、店をたたんだ金と手紙を安宅に送り、長崎から取り寄せた西洋銃で自殺した。 大竹 鎌七郎(おおたけ かましちろう) 安宅の幼馴染み。2回目の襲撃ではお露の籠を狙ったが、広川に額を斬られた。 下条 甲八(しもじょう こうはち) 奥平家下屋敷に半期雇いの中間として潜入し、師走29日に純明が野駆けに出かけるとの情報をもたらした。1回目の襲撃時に殺された5人の同志の1人。 小島 十三郎(こじま じゅうざぶろう) 1回目の襲撃の前に、平尾 九馬(ひらお きゅうま)、太田 孫次郎(おおた まごじろう)と共に脱落したが、下条と接触していたとの情報を得た渋井に捕らえられた。厳しい拷問にも一棟の隠れ家を白状しなかった。幕閣の判断により、千人頭預かりと決まった。渋井から雁右衛門が自殺したと聞かされ、安宅と雁右衛門の絆について語った。 綿貫(わたぬき) 1回目の襲撃失敗の報告をするため八王子の雁右衛門の元に向かい、一緒に江戸に戻ってきた。 山本 万之助(やまもと まんのすけ)、 2回目の襲撃の前に脱落。 幸田 勇三郎(こうだ ゆうざぶろう) 山本の脱落を報告した。 名が分っている他の同志 赤井(あかい)、忠助(ただすけ)、信左(しんざ)、久兵衛(きゅうべえ)、増次郎(ますじろう)
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