学校教育における用語の登場
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「世界の一体化」の記事における「学校教育における用語の登場」の解説
1998年(平成10年)7月の教育課程審議会答申では高等学校地理歴史科「世界史A」の改善事項として、次のように指摘されている。 近現代を中心に、諸文明の特質と世界の一体化の過程を地理的条件と我が国の歴史の展開との関連に留意しながら理解し、現代の諸課題を歴史的な観点から追究することを一層重視する。 このような指摘をうけて、1999年(平成11年)3月29日、「世界史A」の新しい高等学校学習指導要領が告示された。。以下に3つの大単元とそれぞれの単元目標を示す(中項目以下の内容については省略する)。 諸地域世界と交流圏風土,民族,宗教などに着目させながら,ユーラシアを中心に形成された諸地域世界の特質を把握させる。また,諸地域相互の交流に触れ,世界の一体化につながる交流圏の成立に気付かせる。 一体化する世界16世紀以降の世界商業の進展と産業革命後の資本主義の確立を中心に,世界の一体化の過程を理解させる。その際,ヨーロッパの動向と日本などアジア諸国の対応に着目させる。 現代の世界と日本地球規模で一体化した現代世界の特質と展開過程を理解させ,人類の課題について考察させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。 この改正によって初めて「世界の一体化」の用語が登場しており、そればかりではなく「世界史A」は世界の一体化の観点を基軸とする科目として再構成されたといってよい改訂内容となっている。なお、同指導要領は、平成14年5月、15年4月、15年12月にそれぞれ一部改正がなされている。 「世界史B」では、「諸地域世界の結合」「世界の支配・従属関係を伴う一体化」の観点からの内容が盛りこまれた。それを受けて、現在、高等学校の世界史教科書では各社とも世界の一体化の観点を重視しており、特に世界史Aでは重要語句として扱っていて、世界史Bでも重要語句として載せている教科書がある。世界史A教科書の執筆にたずさわった近藤和彦(東京大学)の「グローバル化の世界史」では、世界史教科書の組み立てと歴史の書き直しに関する感想、グローバリズム時代の世界史にまつわる所論と展望を展開している。 大学教育においても世界の一体化の観点は近年きわめて重視されており、講義シラバスなどに当該用語を用いる例が増えている。田中ひかる(大阪教育大学)の講義シラバス「近代世界システムの歴史と現在」などが該当する。なお、学術的論文においても中澤勝三(弘前大学)の論文「近代世界システム論の射程― 重商主義の位置づけをめぐって ―」のように、世界の一体化の用例は一般的なものになりつつある。
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