太政官の職
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 07:06 UTC 版)
太政官も、律令制の他の官制と同じように、長官(かみ)、次官(すけ)、判官(じょう)、主典(さかん)の四階級が存在する。太政官は、機構としては政策決定機関である議政官(ぎじょうかん)と、事務部門である少納言局・左弁官局・右弁官局及び臨時監察官である巡察使に分かれた。その下に八省が置かれた。太政官は唐の制度における門下省と尚書省の役割を統合した性格を有しており、門下省的な役割を担った少納言局と尚書省的な役割を担った弁官局が並立しており、元来は少納言局が判官・主典、弁官局が太政官から独立した性格を持つ品官として位置づけられたとする見方や、反対に弁官局が判官・主典を構成しており、大納言―少納言は天皇への奏上・天皇からの奉勅を行う仕奉の役割を担った独自の役割であったものが大宝令によって初めて四等官に組み込まれたとする説がある。後に、議政官が実際の審議機関となったことによって少納言局の権限が形骸化する一方で、行政事務を管轄する弁官局の力が強まって、外記に対しても影響を行使するようになったとされている。やがて少納言局から外記局が分立して少納言局・左弁官局・右弁官局・外記局に属する官人を政官(じょうかん)と称した。地方官も左右弁官局の共同管理下に置かれている。 官位相当正一位、従一位 - 太政大臣 正二位、従二位 - 左大臣、右大臣、内大臣 正三位 - 大納言 従三位 - 中納言 従四位上 - (中納言)、左大弁、右大弁 正五位上 - 左中弁、右中弁 正五位下 - 左少弁、右少弁 従五位下 - 少納言 正六位上 - 左大史、右大史 正七位上 - 大外記、左少史、右少史 従七位上 - 少外記 長官(かみ)太政大臣 - 常設の地位ではなく、則闕の官とも呼ばれた。 左大臣 - 事実上の行政最高責任者 右大臣 - 左大臣の補佐を行う 内大臣 - 大宝律令以前からの内臣の後身。平安時代に令外官として常制化する。 知太政官事 - 令外官の一つ。正式な太政大臣を任命できない時に太政大臣が必要になった時に設置された。任命例は4度しかなく全て飛鳥時代・奈良時代のものである。皇族以外への任命例はない。 次官(すけ)大納言 中納言 - 大宝律令では廃止され、令外官として復活する。 参議 - 令外官・一時観察使に改編されるが復活 判官(じょう)左大弁、左中弁、左少弁 - 左弁官局を司る。下に四省を持つ。 右大弁、右中弁、右少弁 - 右弁官局を司る。下に四省を持つ。 少納言 - 少納言局を司る。 主典(さかん)左大史、左少史 - 左弁官局に属して事務を行う。 右大史、右少史 - 右弁官局に属して事務を行う。 大外記、少外記 - 少納言局に属して書記を行う。 巡察使 - 臨時に諸国を監察する。
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