大学院教員の資格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 02:20 UTC 版)
日本の大学院教員資格には、Dマル合、D合、D可、Mマル合、M合、M可の6種類ある。この資格審査は、大学院の新設及び文部科学省が必要と判断した改編の場合にのみ、当該大学の申請を受けて文部科学省が行うものである(文部科学省の審査に合格したものが「正式な資格」であるのに対して、各大学が独自に審査・付与したものは、あくまで自称にしかすぎない)。大学院新設の際には、必須であり、大学院の一部改編の際にも、文部科学省の判断で必要とされた場合にだけ、基本、全大学院教員に対して審査がなされる(個々の教員の昇格や新規採用の際や、個々の教員の申請に基づいて、随時、審査が行われるわけではない)。「マル合」、「合」、「可」、「否」等の審査結果は、文部科学省から大学を通して通知される。審査対象の教員は、膨大な資料を作成して提出しなければならないが、「否」となっても、不合格理由の明確な詳しい通知もなく、再審査要請も許されておらず、全くのワンチャンスである。 このように、大学院の修士課程および博士課程の担当教員は、大学院を新設・改編する場合には、基本、講義および学位論文の指導が担当できる「マル合教員」か、講義および学位論文指導の補助が担当できる「合教員」か、講義のみが担当できる「可教員」か、あるいは「否」か、資格審査を受けねばならないが、大学院で学位論文の指導が担当できる教員は、特に、マル合(〇の中に合)教員と呼ばれ、さらに修士論文の指導ができる「Mマル合教員」と、博士論文の指導ができる「Dマル合教員」とに分類される。勿論、「Dマル合」が最上位である。次に「D合」、その下位に「Mマル合」、そして「M合」と続く。 西川純によれば、マル合教員は査読付き論文の業績などで審査され、自身の所属する上越教育大学でDマル合を持っている人は極一部であるという。 「石井好二郎#年譜」、「加藤良三 (商法学者)#略歴」、「中本正幸#資格」、「原秀六#資格」、および「米澤茂#資格」を参照 超格差社会である大学において、助教、准教授、教授というヒエラルキーの頂点に君臨するのが、この「Dマル合教授」。「Dマル合教授」が大勢いる理工系大学と異なり、博士号を持つ教授が少ない文系学部や文・理混合学部では、絶大な権威を持っているという。 「Mマル合」教員の割合ついては、平成12年10月6日司法制度改革審議会審議室において開催された第34回司法制度改革審議会における鳥居泰彦委員の指摘がある。すなわち、当時、新たに法科大学院を設置するには「Mマル合」教員を揃える必要であり、新しい法科大学院の設置認可申請を出す時には自信を持ってマル合がくっ付く教員をずらっと並べないと合格しないという事情がある中、90校余りの法学部教員全部が有資格教員になれるわけではなく、この「Mマル合」という判定をもらうことができる教員の数は、相当絞られてくる(従って、有資格教員を確保できて認可される法科大学院の数も自ずと絞られてくる)という趣旨の指摘である。 「マル合教員」の資格基準は、「修士課程」および「前期2年の博士課程」の場合で論文著書30件程度、「後期3年の博士課程」「前期2年、後期3年の区分を設けない博士課程」の場合は40件程度といわれている(基準は大学によって異なる)。「合教員」は、それぞれその半分程度の研究業績が必要とされる。ただし、単著論文の多い文系のマル合教員の資格基準は、修士課程の場合、修士学位があれば20件程度、博士学位があれば10件程度であり、博士後期課程の場合、博士学位があれば30件程度であることが多い(基準は大学によって異なる)。但し、論文数だけで「マル合」や「合」となるわけではないので、活躍している教授・大先生が落ちたりするという。 講義のみが担当できる「可教員」の資格基準は、当該専門科目についての専門知識ないし経験で判断され、他大学の大学院教授の他、弁護士、公認会計士、マスコミ関係の論説委員、解説者・キャスター、自治体首長経験者などが大学院教授(兼職の場合は大学院客員教授)として任用されている。
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