大型軌道モーターカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 07:44 UTC 版)
「モーターカー」の記事における「大型軌道モーターカー」の解説
それまでのモーターカーが自車への人員・資材の搭載を第一としていたのに対し他の車輌の牽引を重視した設計となっていて、機関車のように保線用の小型貨車を牽引する形態で運用される。連結器は保線用の小型貨車と連結するピン式のほかに、一般的な鉄道車輌とも連結できるように自動連結器もしくは自動連結器と連結できる簡易型の連結器を車輌の前後に装備している。製造は国鉄時代は富士重工業が担当していた。私鉄においては国鉄と同形車・類形車が導入されたほか、他メーカーが独自に設計したものが導入された事例もある。 TMC100・101 大型軌道モーターカーの嚆矢となった系列。昭和31年(1956年)に試作車(TMC100)が2両製造され、続いてTMC100A型の量産が行われた。改良による仕様変更によりTMC100A、B 、C、F、Nの細区分が存在するが、なかでもTMC100Fは運転室の拡幅が行われ外観が大きく異なる。TMC101Aは100Bをベースに軌間1435mmとした形式である。 TMC200・201 TMC100のエンジン出力を増強し(89PS→160PS)、トルクコンバータを装備したことで高低速の切替および前後進の等速走行が可能となった系列。転車装置も大型化しており、積載状態のまま転車が可能となった。なお一部の車両は2.5tクレーンを装備している。改良による仕様変更によりTMC200A、B 、C、D、N等の細区分が存在する。TMC200Bは後方視界の改善のため運転室の拡幅が行われ、出入口も引戸となった。TMC200Cは保線機械の統一設計標準案に基づき、運転室の寸法やドアが変更され、運転席も前向きから横向きに変更された。TMC201Bは200Bをベースに軌間を1435mmとしたものであり、201Cは201BへD型ブレーキ弁、K型三動弁等を追加したものである。201Dは201Cへ大型クレーンを追加したものである。 TMC300・301 TMC200のエンジン出力をさらに増強した系列。TMC301は1435mm軌間用の形式である。JR化後に増備された、TMC300C後期型およびC-Wは設計変更され外観が大幅に変更されている。仕様変更によりTMC300C、C-W、DK、L、S、SW、T等の細区分が存在する。 TMC500 荷台がないセミセンターキャブ型の外観をしていて、モーターカーというよりは小型機関車のような外観である。TMC500Aは碓氷峠越えの横川-軽井沢間の急勾配線区用として開発されたものでブレーキ装置が増強されている。TMC500Bは一般線区向けである。他にバリエーションとして抑速ブレーキ搭載のTMC500C、入れ替え用機関車のTMC500Lおよび重連機能を備えたTMC500Wがある。なお後述のTMC500ASとは直接の関係はない。 TMC501 1435mm軌間用の形式で、当初は山陽新幹線の建設工事用として開発された。TMC501A、B、前期C、E型はL型機だが、ボンネット側を後ろにして運用される。またこの系列のみTMC500とは直接の関係がなく、車両形態が異なる。501B型はダンプトロ牽引用に、油圧回路および重連回路が追加されたものである。なお後期C、C-W、F型ではボンネット側が前となっている。 TMC400・401 国鉄分割民営化後の1990年代から量産された新型モーターカー。TMC300からの主な変更点はエンジンの電子制御化、重連運転用の総括制御装置、転車装置の動力化等となる。運転室出入口は後位側となり、冷房装置が設置された。このうちA初期型は運転席が前後2か所となっていた。仕様変更によりTMC400A、B 、C等の細区分が存在する。
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