多死社会とは? わかりやすく解説

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多死社会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/27 10:03 UTC 版)

多死社会(たししゃかい)とは、進展した高齢化により死亡数が急増し、総人口が減少していく社会[1]死亡する可能性の高い年齢平均余命)に達すると共に死亡者が急増するとされる。

2022年、推計より2年早く日本は多死社会に突入した[2][3]

概要

日本は諸外国に先駆けて、2018年に全都道府県が超高齢社会(65歳以上の人口が総人口の21%以上)に突入した[4]総務省統計局の人口推計によると、2011年を境に人口が急激に減少していることが確認出来る。また、年齢階級別においては、15歳未満の年少人口および生産年齢人口(15歳から64歳)は減少し、65歳以上人口は若干の増加傾向にある。

統計

死亡数 死亡率 人口減少数
2022(令和4) 1,568,961 12.9 -798,214
2023(令和5)

地域別統計

[5]

都道府県別死亡率ランキング(2022年)
都道府県 死亡率 死亡数 推計人口
 秋田県 18.6 17,256 909,501
 高知県 17.1 11,472 664,445
 青森県 16.8 20,118 1,182,185
 岩手県 16.5 19,342 1,159,245
 山形県 16.3 16,883 1,024,093
 島根県 16.1 8031 647,560
 和歌山県 16.0 14,308 889,487
 山口県 15.9 20,687 1,293,558
 徳島県 15.7 10,968 693,739
 鹿児島県 15.4 23,925 1,547,268
 宮崎県 15.4 16,111 1,039,198
 愛媛県 15.4 19,993 1,288,160
 福島県 15.4 27,394 1,763,662
 長崎県 15.2 19,309 1,265,037
 富山県 15.1 15,052 1,005,376
 新潟県 15.1 32,313 2,122,878
 鳥取県 14.9 10,434 536,066
 大分県 14.9 16,266 1,094,566
 香川県 14.7 13,552 923,754
 北海道 14.6 74,431 5,094,487
 長野県 14.4 28,503 2,001,512
 熊本県 14.4 24,427 1,706,741
 福井県 14.3 10,519 743,813
 山梨県 14.1 11,090 794,204
 佐賀県 14.1 11,204 793,870
 岐阜県 13.9 26,175 1,928,099
 三重県 13.8 23,341 1,725,590
 静岡県 13.6 47,334 3,548,150
 岡山県 13.6 24,901 1,845,168
 茨城県 13.5 37,256 2,823,456
 栃木県 13.4 24,992 1,893,873
 群馬県 13.4 26,589 1,897,970
 奈良県 13.3 17,166 1,294,619
 石川県 13.0 14,316 1,108,792
 広島県 12.9 34,940 2,737,070
 京都府 12.7 31,491 2,535,552
 兵庫県 12.6 66,541 5,366,910
 大阪府 12.5 106,277 8,774,969
 宮城県 12.4 28,040 2,262,002
 福岡県 12.2 61,302 5,106,829
 千葉県 11.8 72,258 6,274,510
 埼玉県 11.5 82,221 7,332,207
 愛知県 11.2 81,183 7,481,332
 神奈川県 11.0 98,829 9,227,041
 滋賀県 11.0 15,043 1,405,245
 東京都 10.4 139,264 14,109,648
 沖縄県 10.4 15,054 1,469,435
政令指定都市別死亡率ランキング(2022年)
死亡率 死亡数 推計人口
北九州市 13.9 12,865 915,416
静岡市 13.6 9276 675,930
新潟市 12.9 10,071 771,615
堺市 12.5 10,234 811,396
大阪市 12.4 34,239 2,773,417
浜松市 12.0 9386 778,943
神戸市 11.9 17,978 1,498,825
札幌市 11.9 23,562 1,957,025
京都市 11.8 17,137 1,442,588
名古屋市 11.2 26,121 2,327,700
岡山市 11.2 8047 715,516
熊本市 11.2 8238 738,098
千葉市 11.1 10,818 980,208
相模原市 11.0 8008 724,987
横浜市 10.4 39,388 3,770,179
広島市 10.2 12,158 1,184,915
仙台市 9.9 10,830 1,098,036
さいたま市 9.9 13,235 1,345,871
福岡市 8.9 14,469 1,644,734
川崎市 8.8 13,586 1,545,942
政令指定都市 11.3 309,646 27,702,880

将来推計

2010年に約120万人であった年間死亡数は、2025年まで着実に増加を続け、団塊世代が80歳代後半となる2030年代には160万人を超える見通しだ。これ以降も年間150万人以上と高止まりする[6]。これは太平洋戦争期間中の年間平均死亡者数に匹敵する[7]

多死社会の中でも特に事態が著しい時期は、2038年から2042年と予想されており、この時期の年間死亡数は約168万人と推計されている[8]。この頃には日本の人口減少は著しく、毎年の人口減少数は、国内の大都市の人口に相当する約90万人に達すると推計されている[9][10]

多死社会では火葬場の不足が懸念されており、人口の多い都市部、特に首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県)では深刻な状況となることが予想されている[11][12]。神奈川県横浜市では既に火葬の待ち日数が長期化し、2065年に市内の死亡者数が今より3割ほど増えると予想。現在、市内で5カ所目の公営斎場の建設を計画中だが、死亡者数に対応できるのは56年ごろまでだという[13]

脚注

  1. ^ 死をめぐる我が国の現状
  2. ^ 「1人生まれても2人が死ぬ」が50年続く…ついに始まった「日本人の大量死」の行き着く先とは すでに単身世帯の3割以上が「高齢1人暮らし」”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2024年1月17日閲覧。
  3. ^ 2022年多死社会の到来「年間150万人以上が死ぬ時代が今後50年続く」|荒川和久/独身研究家・コラムニスト”. 日経COMEMO (2023年6月27日). 2024年1月17日閲覧。
  4. ^ 間もなくやってくる「多死社会」を前に、日本がスイスから学ぶべきこと”. ダイヤモンド・オンライン (2022年1月13日). 2024年1月17日閲覧。
  5. ^ 令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2024年1月18日閲覧。
  6. ^ 多死社会|日本総研”. 日本総研. 2024年1月17日閲覧。
  7. ^ 「戦争中と同じ人数が毎年死んでいく」これからの日本を襲う"少産多死社会"の現実 子どもが死なない社会のはずなのに”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2024年1月17日閲覧。
  8. ^ 表3-2 将来の出生,死亡および自然増加数ならびに率:2016~65年 -人口統計資料集(2022)-”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
  9. ^ 少子社会から多死社会へ
  10. ^ 表1-5 総人口,人口増加,性比および人口密度の将来推計:2015~65年 -人口統計資料集(2022)-”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
  11. ^ “多死社会” 年間死亡者 過去最多の156万人 火葬待ち12日間も | NHK”. NHK NEWS WEB. 2024年1月17日閲覧。
  12. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2016年4月17日). “【日曜講座 少子高齢時代】「多死社会」を乗り越える 故郷葬で火葬場不足を解消 論説委員・河合雅司”. 産経ニュース. 2022年6月14日閲覧。
  13. ^ 人口激減、今後20年が「一番きつい」 近未来に起きる「介護難民」「多死社会」:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2024年1月17日閲覧。

関連項目

外部リンク




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