墜落原因を巡る各国の発表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 03:50 UTC 版)
「ウクライナ国際航空752便撃墜事件」の記事における「墜落原因を巡る各国の発表」の解説
事件直後の1月8日、イランの国営メディアは「752便は6時22分に墜落し、生存者はいない」と報じた。イランの道路交通省の広報担当者は「エンジン1基で火災が発生し、それによりパイロットが機体の制御を失った」と述べた。また、その他のイランのメディアも「752便は機械的故障により墜落した」と報じた。 在イランウクライナ大使館は声明を出し、この中で「事故調査委員会が出す結論より前の事故の原因に関する記述は公式ではない」とする声明を出した。ウクライナ国際航空は、テヘラン空港は「単純な空港ではない」と述べ、そのためパイロットは充分な訓練を受けており、パイロットエラーが事故原因とは考えにくいと発表した。ウクライナ政府も当初は機械的故障が原因とみていた。しかしその後、声明を撤回し、ミサイルが原因である可能性も否めないと述べた。ゼレンスキー大統領は墜落原因に関していかなる憶測もすべきではないと発言した。 1月9日、アメリカの諜報機関や防衛当局が偵察衛星のデータから、752便はイランの9K330ミサイルによって撃墜された可能性があると発表した。ウクライナ当局は撃墜は1つの可能性として考えられるとしたが、イラン当局は否定し、ミサイルによる撃墜はアメリカによる心理戦だと述べた。イギリス国防省はアメリカの意見に同意した。カナダのジャスティン・トルドー首相は、複数の情報や証拠は752便がイランのミサイルによって撃墜されたことを示唆していると述べた。 当初、イスラム革命防衛隊(IRGC)は「アメリカの嘘」、「CIAと国防総省の間違ったシナリオ」、「ボーイング株が急落することを防ぐための作戦」などと発言し撃墜説を否定していたが、1月11日に752便を敵対勢力と誤認して撃墜したことを認めた。イランで運用されている9K330のものと思われる地対空ミサイルの部品が事件後に散乱していたことが、決定的な証拠とみなされた。 事故当日752便は、当初の重量が最大離陸重量を超過していたため、貨物を下ろしており離陸が1時間近く遅れていた。 IRGCは声明で、752便が機密の軍事施設に向かっているようだったため、敵対的な目標であると誤認し、撃墜したと述べた。これに対してイランの民間航空局は752便は予定された正しい飛行経路を飛んでおり、経路を逸脱などしていなかったと反論した。ADS-B飛行追跡データなども752便が適切な経路を飛行していたことを示していた。 イスラム革命防衛隊のアミール・アリ・ハジザデ(英語版)は、ビッド・カネフ(英語版)のミサイル・オペレーターが752便をアメリカ軍の巡航ミサイルと誤認し、独断でミサイルを発射したようだと述べた。またハジザデは、752便は順調な飛行をしており、何も間違いをしていなかったと発言した。 西側諸国の専門家は以前、752便がシャヒド・モーダレスミサイル基地等の軍事施設付近を飛行していたことを指摘した。
※この「墜落原因を巡る各国の発表」の解説は、「ウクライナ国際航空752便撃墜事件」の解説の一部です。
「墜落原因を巡る各国の発表」を含む「ウクライナ国際航空752便撃墜事件」の記事については、「ウクライナ国際航空752便撃墜事件」の概要を参照ください。
- 墜落原因を巡る各国の発表のページへのリンク