土木技術の粋を結集して北進
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「東海北陸自動車道」の記事における「土木技術の粋を結集して北進」の解説
東海北陸自動車道は総延長約185 kmのうちトンネルの延長合計が約70 km、また橋梁の数も上下線合わせて386本を数え、その中でも建設が後回しにされてきた岐阜県奥美濃から富山県砺波平野にかけての区間は高速道路の国内最高標高となる海抜1,085 mを通る、典型的な山岳道路である。それゆえ当該区間の至る所で難関工事を余儀なくされ、随所に当時最新の土木施工技術が投入される事となった。その最たるものが、日本一の橋脚高さを誇る鷲見橋(高鷲IC - 荘川IC間)と、貫通当時日本で2番目の長さを誇った飛驒トンネル(飛驒清見JCT - 白川郷IC間、後述)である。 1988年(昭和63年)に施行命令が下された白鳥IC - 荘川IC間で、旧高鷲村の鷲見川にかかる橋梁である鷲見橋の設計を担当した日本道路公団名古屋建設局の構造技術課担当者は現地のV字谷と山襞を見て度肝を抜かしたという。この区間ではルート線形がR=600のカーブを描くため構造的に不安定になるアーチ橋は不可とされ、近辺に安定した工事車両用道路が確保できず長尺の金属製桁が搬入できない事から現場で打設できるコンクリートを素材とする事が決まった。地形的に難工事が予想されるため橋脚の本数を抑える事とし、こうして消去法的に採用されたのが4径間連続ラーメン橋であった。1997年(平成9年)11月より鹿島建設請負で始まった工事では工期短縮と工費削減、環境保護のため、高強度コンクリートと高強度鉄筋を使用した同社の新工法であるスーパーRC構造で「大口径深礎基礎」を実現したほか、作業場の安全性確保と作業効率上昇のためラチェット型の油圧昇降装置を備えた「自昇式型枠足場」が用いられた。2年の工期を経て完成した鷲見橋は長さ436 m、橋脚高が日本一となる118 mで、それまで日本一の座にあった与島高架橋(瀬戸大橋)の79 mを大幅に更新している。 また同じ頃、隣接する全長198 mの本谷橋でもピー・エス(現・ピーエス三菱)の施工によって日本初の張り出し架設工法による橋波鋼板ウェブを用いたPC3径間連続ラーメン箱桁橋が建設され、軽量化による施工効率上昇や工費削減を実現し、こちらはその業績から土木学会田中賞を受賞した。 なお、これらの橋梁が設計段階にあった1990年代初頭は第二東名高速・第二名神高速プロジェクトが動き出した頃で、それらの道路も同様に山岳道路となる事が確実視されていたため、そちらに投入される可能性のある新技術を試す場として東海北陸道が抜擢された経緯がある。実際に、鷲見橋・本谷橋いずれの技術も両高速道路に採用されている。
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