国産原発ロボットの投入
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「レスキューロボット」の記事における「国産原発ロボットの投入」の解説
コマツや日立建機などの国産無人重機ロボットや「ロボット操作車」などの他、以下の国産ロボットが投入された。 SMERT-Mの投入 2011年5月20日、東芝製で一旦廃棄処分になった(後述)作業監視支援ロボット「SMERT-M」が、事故後に急遽、ガンマ線カメラを搭載して、福島第一原発1号機原子炉建屋内に投入され、計測を行っている。 クインス(Quince)の投入 2011年6月24日、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター、東北大学未来科学技術共同研究センター、国際レスキューシステム研究機構のグループが、2009年に共同開発した災害救助ロボット『クインス(Quince)』が、2号機建屋内に投入された。元は原発災害用ではなかったので、改良が加えられていた。因みにクインスは、2009年のロボカップレスキュー世界大会で運動性能部門とアームの性能部門で優勝し、瓦礫走行及び階段や坂を上る性能などで米国製を圧倒している。福島第一原発の事故現場でも高い運動性能により、米国製ロボットが踏み込めない場所でも活躍している。東電では2011年7月下旬頃には、米iRobot社の「PackBot」では傾斜角が急な建屋上層階や地下へのアクセスは困難と判断し、上層階へのアクセスなど複雑で高度なミッションには「クインス」を利用している。 2011年10月20日、クインス1号は遠隔操作する為のケーブルの断線で通信が途絶えた為、翌2012年2月20日に改良型のクインス2号と3号の2台が追加で搬入され、同27日に2号機原子炉建屋内部を撮影した(動画あり)。2台には通信のバックアップ機能が備わり、線量計や温度計に加えて、空気中のちりを採取する「ダストサンプラー」や3次元スキャナーなども搭載された。 因みに2012年7月、クインスの後継機「ローズマリー」2台が公開された(後述)。 JAEA-1~3号の投入 2011年6月、日立製作所、神戸製鋼、日本原子力研究所(JAEA)が2000年に共同開発していたものの、メンテナンスがされず直ぐに可動させられなかった(後述)国産ロボット「RESQ-A」(初期情報収集用)は、ケーブルリールを搭載するなどの改良が加えられ、「JAEA-2号」として搬入された。国産ではないが、スウェーデン・BROKK社の小型無人建機「ブロック40」(屋内瓦礫除去用)は、「JAEA-1号」として同年6月に搬入された。もう一台の「RESQ-A」(日立、神戸製鋼)に改良を加えた「JAEA-3号」(屋内ガンマ線可視化計測等用)は同年7月に搬入された。 待機状態にあったが、同年9月23日に「JAEA-3号」が2号機原子炉建屋内に投入され、計測・撮影などを行った。 サーベイランナーの開発 トピー工業は2012年3月6日、原発の復旧作業用に向けた探査ロボット「サーベイランナー」 を開発したと発表した。70センチ四方の狭いスペースでの旋回、急勾配で濡れた階段での昇降が可能で、原子炉建屋内でもスムーズに測定作業ができるとみている。トピー工業はこれまで消防庁など向けに探査ロボットを製造しており、3.11後は東電にロボット技術をアピールしてきた。3月中に東電に無償で貸与し、放射線が強く立ち入りが制限されている原発内での作業に活用してもらう。 2012年4月18日、大量の汚染水が漏れ続けている2号機で水漏れ箇所の特定のため、格納容器下部の圧力抑制室にサーベイランナーを投入して調査が行われた(動画あり)。 投入された国産ロボット一覧(一部外国製含む)SMERT-M(東芝製、情報収集用、11年5月20日投入) クインス1号(千葉工業大学、東北大学、国際レスキューシステム研究機構の共同開発、2011年6月20搬入,24日2号機建屋内投入) JAEA-1号(スウェーデンBROKK製ブロック40(屋内瓦礫除去用)を改良,元々日本の原発に配備されていた。11年6月搬入) JAEA-2号(日立・神戸製鋼製「RESQ-A」を改良、屋内除染作業用、11年6月搬入) JAEA-3号(日立・神戸製鋼製「RESQ-A」を改良、屋内ガンマ線可視化計測等用、11年7月搬入,同年9月23日建屋内投入) クインス2号(千葉工業大学、東北大学、国際レスキューシステム研究機構の共同開発。12年2月20日搬入・27日建屋内投入) クインス3号(千葉工業大学、東北大学、国際レスキューシステム研究機構の共同開発。12年2月20日搬入) クローラークレーン(製造企業不明。2012年4月13日、水中カメラ吊し遠隔操作で3号機使用済燃料プール内を調査) サーベイランナー(トピー工業、2012年4月18日に2号機圧力抑制室に投入)
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