固定資産税の過誤課税問題に関する報道等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 22:25 UTC 版)
「固定資産税」の記事における「固定資産税の過誤課税問題に関する報道等」の解説
固定資産税の過誤は、土地よりも建物(地方税法上の用語では「家屋」)が最大の問題であり、報道されている事例等は、産業界の事例が中心である。 2012年(平成14年)8月、総務省(自治税務局固定資産税課)は、「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」を公表した。これは、固定資産税を課税する1720の自治体のうち、回答を拒否した東京23区と、被災地であるため調査対象外とされた岩手県、宮城県及び福島県内の市町村を除く1592市町村の、2009年度、2010年度及び2011年度(2002年1月1日まで)における土地・家屋に係る固定資産税及び都市計画税について、各市町村が課税誤り等により税額を修正した件数(納税義務者数)を調査したもので、税額修正を行った団体は1544市町村(全体の97%)と、ほぼすべての市町村で固定資産税の課税過誤が生じていることが、監督官庁である総務省(=旧自治省)によって明らかにされた。 この総務省の調査をフォローした日本経済新聞の記事「固定資産税 徴収ミス続発」(2014年9月9日)は、「総務省の調査では2009~2011年度の3年間で、固定資産税の取りすぎが発覚して減額修正されたのは全国で25万件以上あった。」と報じた。但し、この総務省の調査には、償却資産に対する固定資産税の過誤は含まれておらず、また最大の課税地である東京23区が含まれていないので、実態は更にひどいものと考えられる。 次いで、日本経済新聞は2016年3月29日の記事「過払い税金 企業が奪還 固定資産税5年で上場REIT 15社 自治体のミス相次ぐ」で、REITのほか、パナソニック、エーザイ、京阪電鉄など、産業界のいたるところで固定資産税の過誤による過剰徴収の返還を求める企業が増えている、と報じた。 更に、日本経済新聞は2019年12月2日の記事(エコノフォーカス)「固定資産税 過払い頻発」で、「東京23区と政令指定都市(除、広島、横浜)だけでも、2018年度において固定資産税の過払いの払い戻しが、少なくとも14万件、合計70億円以上に上る」との調査結果を公表した(件数・金額とも史上最悪を更新)。この記事では、「1級建築士事務所の建物鑑定(東京・新宿)が成功報酬方式で固定資産税の払い戻し実務を提供している」ことや、建物鑑定以外にも「固定資産税の還付請求を指南するコンサルティング会社がいくつも」あると報じている。ただし、過誤課税の根本的な原因である「複雑な課税制度」を見直すことは困難であるとの当局(総務省、及び東京都)の見解も紹介している。 この間、週刊エコノミスト(毎日新聞社)も、「固定資産税を取り戻せ! 全国で相次ぐ徴収ミス」(2016年6月7日号)、「固定資産税の大問題」(2017年4月11日号)などの特集を組んだ。 また、週刊ダイヤモンドの2018年5月28日号は、固定資産税適正化研究会会長下崎寛氏(税理士・不動産鑑定士)の寄稿「固定資産税徴収の杜撰な実態 制度改正は喫緊の課題」を掲載した。この寄稿には、産業界の大手自動車メーカー、自動車部品メーカー、有名ホテル、商業施設、大手食品企業、製紙会社、化学会社、投資ファンド、病院なども固定資産税の過誤の取り戻しに乗り出していること、凸版印刷が建物鑑定と提携して固定資産税適正化サービスを開始したことなどが紹介されている。更に、この寄稿では、固定資産税の過誤徴収が国民の「制度に対する信頼」を失わしめ、「第二の年金問題」となりかねない懸念、また、この問題が地方財政にもたらす甚大な影響、経団連が償却資産税の廃止を求めているという問題も解説している。
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