商品とモットー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 01:26 UTC 版)
川端道喜の和菓子はちまきと生菓子である。ちまきは葛の風味を生かした水仙ちまきと餡を練り込んだ羊羹ちまきがある。生菓子は主に裏千家などでの茶席で茶菓子として供される。水仙ちまきは2005年9月10日、日本経済新聞に掲載された、和菓子の専門家による投票で決められた「おすすめの和菓子」で第1位の評価であった。 ちまきも生菓子もこれまで一子相伝のレシピのようなものはなく、歴代当主がそれぞれ工夫をしながら製造してきた。ともに食品添加物等は一切加えていないために日持ちがせず、機械化もしていないため大量生産は行えない。防腐剤を使用していないこともあって、8月は店を休む。また受注した注文分を製造する受注生産である。原材料もちまきの場合、餡、砂糖、葛粉。生菓子の場合は餡、砂糖、餅粉、道明寺粉それに色素とシンプルであり、色素も出来る限り天然色素を用いている。ちまきも生菓子も茶菓子として出過ぎることがなく、お茶を引き立てるような風味を出すことを心がけている。 主力商品のちまきは、初節句用に5月の需要が特に多い。また祇園祭の前にちまきをお供えとして決められた町内に届ける習慣が続けられている。ちまきは基本的には江戸時代と同様の製法を守り続けており、製造道具も釜がガス釜となったくらいしか変わっていない具体的には笹で包んだ上にイグサの芯を抜いたイガラというもので巻き上げた上で、熱湯で湯がいて製品化する。こうすることによって余分な甘みや香りが抜けて、茶席用にふさわしいちまきとなる。これは蒸して作られる通常のちまきとは異なる、川端道喜独自の製法である。 宮中に餅菓子などを献上していた伝統を踏まえた生菓子は、季節ごとの嗜好を凝らした茶席用菓子として経営の中核を担っている。前述のように裏千家の玄々斎と十二代川端道喜とで創り出した菱葩餅は裏千家の初釜式で供されている。菱葩餅作りに追われる1月と、初節句用のちまきの大量注文をさばく5月は川端道喜の繁忙期である。11月には千宗旦が植えたと伝えられる宗旦銀杏のぎんなんが川端道喜に持ち込まれ、銀杏餅として茶会で供されているまた裏千家の11月の炉開きには川端道喜製の生菓子「玄猪」が供される。裏千家は2017年、川端道喜に第15回茶道文化貢献賞を贈っている 。そして速水流の聖護院での茶会にも生菓子を納入している。 21世紀に入る頃からは京都付近で採れる笹が減少した。笹の供給不足は続き、性質が異なるものの他の地域の笹も工夫して使用せざるを得なくなる。平成12年(2000年)に当主である第十六代川端道喜が亡くなったことも、家族経営でちまきを製造してきた川端道喜にとって大きな痛手であった。このような状況下ではちまきの製造量を大幅に減らさざるを得なくなったため、生菓子の製造に力を入れ、生産量を増やすことになった。その結果として大茶会用の注文販売であり、小売りが無くて一般客の入手が難しかった生菓子の購入が容易になった。 また起請文の「声なくして人を呼ぶ」に従って、宣伝をして人を呼ぶのではないと考えている。ひとりひとりのお客様と直接お話する方がふさわしいとの考えから、店のホームページも無い。そしてネット販売の誘いを受けた際も断った。 コロナ禍の中で令和3年(2021年)の裏千家初釜式が中止となるなど大茶会の中止が相次ぎ、経営にとって痛手となった。そこで生菓子の店頭予約販売回数を増やすなどの対応を行っていく予定である。
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