商品としての位置付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 17:26 UTC 版)
「高オクタン価ガソリン」の記事における「商品としての位置付け」の解説
かつて日本国内で製造されたガソリンエンジン搭載の自動車は、全て有鉛ガソリン(有鉛レギュラーおよび有鉛ハイオク)仕様であった。その後、公害問題によるガソリンの無鉛化対策の結果、1972年3月までに有鉛仕様の自動車は製造されなくなった。しかしこの段階では有鉛仕様車の使用自体が禁止されたわけではなく、有鉛仕様の自動車が使われている間は国内のガソリンスタンドでは有鉛ガソリンの販売が続けられていた。1975年にレギュラーガソリンが無鉛化され無鉛ガソリンとなった後は、有鉛ガソリンの販売は有鉛ハイオクに限られていた。しかし有鉛仕様車の数は徐々に減少し、ガソリンスタンドでの販売量も同様に減少していった。 そこで1983年に、出光興産と日本石油(現・ENEOS)が無鉛ハイオクを発売し、他社もそれに追随した。なお、ごく少数が使用されていた有鉛ハイオク仕様の自動車には「鉛の代用品」を意味する「レッド・サブスティテュート (lead-substitute)」と呼ばれる添加剤を指定された割合で投入することで対処していた。 無鉛ハイオクは、レギュラーガソリンと差別化を図れるため高価格で販売でき、大きな利幅を得ることができるため、当時は各社とも無鉛ハイオクガソリンの商品開発と販売促進に熱心であった。ハイオクガソリンはオクタン価向上剤の添加でアンチノッキング性を高めるだけでなく、強化された清浄剤などの添加により付加価値を高め「プレミアムガソリン」と銘打って販売された。当時は高性能をイメージさせる映像表現を用いたり「クリーン」「環境にやさしい」などと銘打った無鉛ハイオクガソリンのコマーシャルが盛んに行われていた。 一方で自動車会社は、こうした石油元売会社の動向に対して冷淡であった。実際のところはレギュラーガソリン仕様の自動車にただハイオクガソリンを給油しただけで性能が向上するわけではなく、石油元売会社が宣伝するような効果はなかったからである。しかし1980年代は、自動車メーカーも石油ショックや自動車排出ガス規制といった逆風から立ち直りハイパワー競争に明け暮れた時期でもあった。そこで出力を高める手段としてエンジンのハイオク仕様化が行われ、高性能のスポーツカーや高級車の多くがハイオク仕様となった。 元売り各社間での宣伝文句自体も似通った文言 となっており、かつてのような宣伝は下火となっている。 ハイオクガソリンは、元売系列や無印スタンドを含めて全てのスタンドで取り扱いがあるわけではなく、店によってレギュラーのみ、あるいはレギュラーと軽油のみの取り扱いだったりするため注意が必要である(逆にレギュラーとハイオクのみ、というスタンドもある)。
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