石油元売会社とは? わかりやすく解説

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石油元売会社

読み方せきゆもとうりがいしゃ

「石油元売会社」という用語は今日一般に広く使用されているが、石油元売会社そのものについての公的な定義・規定はない。わが国石油会社という場合通常原油および石油製品輸入精製販売従事する会社を指すが、このうち特約店給油所灯油販売店などの固有の流通機構直接販売直売)を通じて需要家石油製品販売行っているものを一般に石油元売会社と称している。その数は、1985 年昭和 60 年3 月末現在 12 社で、具体的には、自ら製油所所有する日本石油出光興産昭和シェル石油三菱石油ゼネラル石油九州石油精製元売兼業会社 6 社と共同石油丸善石油大協石油エッソ石油モービル石油キグナス石油のように専ら販売従事している元売専業会社 6 社がこれに該当する丸善石油大協石油は、1986 年昭和 61 年4 月 1 日付け合併するとともに既存精製会社であるコスモ石油吸収して新し精製元売兼業会社であるコスモ石油設立することになっている。これら元売会社それ以外精製専業各社大部分資本提携関係・原油供給契約製品販売契約・受委託精製契約などを通じて有機的に結合し精製販売が一体となった企業グループ形成し石油製品供給行っている。

石油元売

(石油元売会社 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 09:04 UTC 版)

石油元売(せきゆもとうり)とは、日本で1949年(昭和24年)4月1日に始まった石油元売制度に由来する石油卸売業者[1]

石油元売制度の下では日本政府が認め登録した元売業者だけが石油元売会社であったが、元売制度は石油製品配給規則の廃止とともに消滅し[1]、以後は公式な石油元売の定義は存在せず、精製と販売の事業を大規模に行う石油関連の企業を示すことが一般的である[2]

元売制度の発足

登録

日本では戦時下の1939年9月の石油配給統制規則による石油共販、1942年6月の石油配給統制、戦後の1946年10月の石油配給、1947年6月の石油配給公団など10年間にわたって石油の配給統制が行われたが、1949年(昭和24年)4月1日に民営化され石油元売制度が始まった[1]。日本国内での石油精製が再開され、精製設備ないしは輸入基地を持ち、配給能力を有すると認められた事業者が「登録元売業者」に指定された[3]

1949年(昭和24年)3月に以下の10社が元売業者に登録された[1]


1949年(昭和24年)8月には丸善石油興亜石油大協石油が登録された(二次登録元売)[1]。しかし、興亜石油の辞退などによって石油元売12社体制として確立された[1]

なお当時、製油所を持たず、原油を輸入して精製業者に委託精製を行っていた元売は「純元売」と呼ばれた(出光興産、ゼネラル物産、シェル石油、日本漁網船具)[1]

流通

石油流通では石油元売と直接に販売契約を結んで購入している店を「二者」、特約店と販売契約を結んでいる店を「三者」という[4]。このうち三者販売店はサブ店ともいう。ただし、店舗の社有、二者、三者の分類基準は、石油元売ごとに異なった集計が行われており、二者と三者の外数を社有として定義している元売もあれば、100%子会社の場合のみを社有とする場合など分類の方法は一致していない[4]

第二次世界大戦前の日本では鉄道駅渡し(オンレール渡し)や最寄港での本船渡し(オンボード)が一般的だったが、製品の品質管理や出荷先管理が困難になることから、戦後、石油元売は店舗へのローリーによる持ち届け制度を普及させた[4]

配給規則廃止後

1952年(昭和27年)に燃料油の配給・価格統制は廃止された[1]。元売制度は石油製品配給規則の廃止とともに消滅した[1]。以後、「石油元売」は石油製品の一次卸事業者の総称として用いられるようになり、一般的には原油探鉱開発、タンカー会社、精製会社、物流会社まで支配下におくメーカーを呼ぶようになった[3]

なお、軽油については、1956年(昭和31年)5月に地方税法に軽油取引税が追加され、日本石油精製など103社が軽油元売業者に指定された[1]

石油元売の分類

石油元売は国際石油資本(メジャー)との関係から、これらの企業と資本関係を有する外資系元売と、その他の民族系元売に分けられた[3]

企業再編の進行

2020年令和2年)7月時点で、日本の石油元売は5社ある。1980年代初めには国内15社を数えたが[5]燃料油の国内需要減少に伴い、1981年(昭和56年)に石油審議会が出した提言に沿って再編が進展した[6]

日本でのガソリンスタンドは上記の5社の直営と特約店、販売店(俗に言うスーパーディーラーを含む)の他に、大手総合商社系(伊藤忠エネクス三菱商事エネルギー丸紅エネルギー兼松ペトロなど)や農業協同組合(JA)系(JA-SS北海道ホクレンSS)が存在し、ガソリンスタンド総数は30,070店(2019年3月末時点)である。商社系は日本国内のガソリンの1割以上を販売しており、JA全農も約5 %を販売しているが、直営系の比率が増大傾向にある[7]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 小嶌正稔「<論文>石油政策と流通競争基盤の形成 : 石油元売のチャネル構築と外貨割当制度」『経営論集』第49巻、東洋大学、1999年3月、1-18頁、ISSN 0286-6439NAID 1100000634642022年7月8日閲覧 
  2. ^ 芥田知至著 『最新石油業界の動向とカラクリがよーくわかる本』 秀和システム 2008年5月21日第1版第1刷発行 ISBN 9784798019673
  3. ^ a b c マイクロガスタービン、メジャー、元売”. 鹿児島県石油商業組合、鹿児島県石油販売業協同組合. 2022年7月8日閲覧。
  4. ^ a b c 小嶌正稔「ガソリン流通の二重系列構造 石油元売のマーケティング・チャネル再構築(2)」『青森公立大学経営経済学研究』第2巻第1号、青森公立大学経営経済学研究編集委員会、1996年、2-25頁、 ISSN 1341-9404NAID 1200054596632022年7月10日閲覧 
  5. ^ https://www.noe.jxtg-group.co.jp/binran/document/part01/chapter02/pdf/section07_02.pdf
  6. ^ 石油産業の歴史 第2章 第7節 規制緩和と業界再編の時代
  7. ^ 石油販売業の課題と生き残り策 総合資源エネルギー調査会・第17回資源・燃料分科会(平成28年5月17日)説明資料(2016年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project

参考文献

関連項目



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