各国の設定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/14 23:58 UTC 版)
健全なインフレ率は、人類の経験則から2-3%といわれている。多くの中央銀行で物価目標を設定する試みが行われているが、設定するインフレ率(例えばイギリスは2.0±1%)や政策目標への拘束力などは様々である。日本銀行は物価目標を2%とした根拠について、消費者物価指数が実態より上振れしやすく「1%では、実際にはゼロ%からデフレである可能性があるため」と説明している。 世界の中央銀行の大半が2%プラス・マイナス1、あるいは1-3%という範囲でインフレ目標を設定し、中心値は2%である。 物価指数には、消費者物価指数、GDPデフレーターなどいくつかの種類があり、どの指標に従って上昇率を決めるかは国によって異なる。日本銀行は「コアCPI」を物価目標の指標として採用する一方で、日本政府はエネルギー関連を除いた「コアコアCPI」で判断する方針を明らかにしている。 インフレターゲットを達成できなくても政府が中央銀行幹部を罷免できる法規定が存在する国は殆どなく、唯一ニュージーランドに数年間にわたって著しくインフレ目標を達成しない総裁について解任できる法規定があるのみである。ただし、目標不達成で総裁が罷免された例はない。 インフレターゲットの目標物価上昇率の設定主体は、政府、政府と中央銀行、中央銀行の3タイプが存在する。 インフレ目標政策自体は、新興国を含む多くの国で採用されているが、その運営方法は必ずしも一貫しておらず、多くは本来のインフレ目標政策の意図から逸脱しているのが実情である。南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドは比較的、忠実にインフレ目標政策を実施している。 インフレ目標採用国は、目標インフレ率を維持できると予想できる場合、資産価格や原油価格を考慮しないという方針を採用している。 経済学者の高橋洋一は「黒田東彦日銀が採用しているインフレ目標には、株式・地価などの資産市場の価格は含まれておらず、一般の財・サービスで構成される消費者物価指数が目標対象である」「目先の市場の動きで金融政策が左右されたら、実体経済に悪影響になる」と指摘している。 「ヤン・ティンバーゲン#ティンバーゲンの定理」も参照 ユーロ圏における中央銀行的役割を果たす欧州中央銀行(ECB)ではインフレターゲットとは呼ばれないものの「物価安定の数値的定義」として2%のインフレ率が設定されている。スイス国立銀行も同様に物価安定の数値的定義である。 中国はインフレ目標を設定しているが、金融政策を物価安定に振っているわけではなく、事実上、為替レートの水準維持に振っている。 政府政府・中央銀行 中央銀行オーストリア ○ ブラジル○ カナダ ○ チリ ○ コロンビア ○ チェコ ○ ハンガリー ○ アイスランド ○ インドネシア ○ イスラエル○ 韓国 ○ メキシコ ○ ニュージーランド ○ ノルウェー○ ペルー ○ フィリピン ○ ポーランド ○ ルーマニア ○ スロバキア ○ 南アフリカ ○ スウェーデン ○ タイ ○ トルコ ○ イギリス○ アメリカ ○ 日本 ○ (参考) ユーロエリア ○ スイス ○
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