台風の階級
台風の階級
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:21 UTC 版)
台風の勢力を分かりやすく表現する目的などから、台風は「強さ」と「大きさ」によって階級が定められ分類されている。 強さによる分類は、国際的にはWMOが規定する分類法が使用されているが、それに準じた多少差異のある分類法も熱帯低気圧の等級のようにいくつか使用されていて、同じ台風でも気象機関によって異なるレベルに分類される場合がある。具体的には、米軍の合同台風警報センター (JTWC) では1分間平均の最大風速、日本の気象庁では10分間平均の最大風速によって分類する。例えば同じ台風の同時刻の観測において、米軍の合同台風警報センターが台風の強度に達したと判断しても、日本では強い台風の強度に達せず並の強さと判断する場合も生じる(1分間平均風速は10分間平均風速よりも1.2 - 1.3倍ほど大きく出る傾向にある)。また、最大風速で強さを分類しているが過去には中心気圧が用いられており、その名残りから、日本で発表される台風情報には中心気圧も網羅される。 なお、日本でもマスメディアなどにおいて用いられる「スーパー台風」の呼称については、気象庁における明確な定義は無いが、米国の合同台風警報センターでは最大強度階級130 knot(約67m/s・240 km/h)以上の台風のことを指して「スーパー台風」と呼んでいるほか、中華人民共和国(香港、マカオを含む)などでは風速100 ノット (185 km/h) 以上の台風を「スーパー台風」としている。 最大風速 (m/s)最大風速 (knot)国際分類日本の分類(旧)(新)<17.2 ≦33 Tropical Depression /トロピカル・デプレッション (TD) 弱い熱帯低気圧 熱帯低気圧 17.2 - 24.5 34 - 47 Tropical Storm /トロピカル・ストーム (TS) 台風 弱い 台風 (特になし) 24.6 - 32.6 48 - 63 Severe Tropical Storm / シビア・トロピカル・ストーム (STS) 並の強さ 32.7 - 43.7 64 - 84 Typhoon / タイフーン (TまたはTY) 強い 強い 43.7 - 54.0 85 - 104 非常に強い 非常に強い >54.0 ≧105 猛烈な 猛烈な JTWCによる分類階級最大風速 (1分間平均)スーパー台風130 knot (240 km/h) 以上 台風63 - 129 knot (118 - 239 km/h) 熱帯性暴風雨34 - 62 knot (63 - 117 km/h) 熱帯低気圧22 - 33 knot (41 - 62 km/h) フィリピン大気地球物理天文局 (PAGASA) による分類階級風速スーパー台風221 km/h 以上 台風118 - 220 km/h 激しい熱帯性暴風雨89 - 117 km/h 熱帯性暴風雨61 - 88 km/h 熱帯低気圧30 - 60 km/h 香港天文台・マカオ地球物理気象局による分類階級風速スーパー台風100 knot (185 km/h) 以上 強い台風81 - 99 knot (150 - 184 km/h) 台風64 - 80 knot (118 - 149 km/h) 激しい熱帯性暴風雨48 - 63 knot (88 - 117 km/h) 熱帯性暴風雨34 - 47 knot (63 - 87 km/h) 熱帯低気圧22 - 33 knot (41 - 62 km/h) 国家気象センター(中国語版)による分類階級風速スーパー台風51.4 m/s (185 km/h) 以上 強い台風41.7 - 51.3 m/s (150 - 184 km/h) 台風32.8 - 41.6 m/s (118 - 149 km/h) 激しい熱帯性暴風雨24.5 - 32.7 m/s (88 - 117 km/h) 熱帯性暴風雨17.5 - 24.4 m/s (63 - 87 km/h) 熱帯低気圧17.4 m/s (62 km/h) 以下 また日本の気象庁では、大きさによる分類も行っている。風速15m/s以上の強風域の大きさによって分類する。15m/s以上の半径が非対称の場合は、その平均値をとる。なお、以前は1,000ミリバール(現在使用されている単位系ではヘクトパスカルに相当)等圧線の半径で判断していた。 大きさの階級風速15m/s以上の半径(旧)(新)超大型の台風≧ 800km 大型の台風500 - 800km 中型 (並みの大きさ) の台風(特になし) 300 - 500km 小型の (小さい) 台風200 - 300km ごく小さい台風< 200 km これらを組み合わせて、かつては「大型で並の強さの台風」というような言い方をしていた。しかし、組み合わせによっては「ごく小さく弱い台風」となる場合もある。1999年(平成11年)8月14日の玄倉川水難事故を契機に、このような表現では、危険性を過小評価した人が被害に遭うおそれがあるという防災の観点から、気象庁は2000年(平成12年)6月1日から、「弱い」や「並の」といった表現をやめ、上記表の(新)の欄のように表現を改めた。したがって、「小型で『中型で・ごく小さく』弱い『並の強さの』台風」と呼ばれていたものは、単に「台風」、「大型で並の強さの台風」は「大型の台風」と表現されるようになった。
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