南アフリカでのPLATO
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 04:18 UTC 版)
「PLATO」の記事における「南アフリカでのPLATO」の解説
CDCがPLATOの販売促進を行っていたころ、海外でもPLATOを使用する動きが出始めた。南アフリカ共和国は1980年代初期の最大のPLATOユーザーの1つである。南アフリカの電力会社Eskom(英語版)はヨハネスブルグ北西の近郊にCDCの大型機を所持していた。発電および送電に関する管理タスクなどに使われていたが、PLATOソフトウェアも動作させていた。1980年代初期、南アフリカ最大のPLATOシステムを設置したのは西ケープ大学(英語版)で、有色人種の教育用に一時期は数百の PLATO IV 端末をヨハネスブルグとデータ回線で接続していた。他にもいくつかの研究教育機関でPLATOを採用している。例えば、ニューカッスル近郊のマダデニにあるマダデニ・カレッジなどがある。 マダデニ・カレッジは特に特殊な例である。学生は1,000名ほどで、全員黒人であり、99.5%がズールー人である。クワズールー自治領内の教師10人を配置した大学のひとつで、その中でも最大規模である。大学とは言っても当時は教室に電気もひかれておらず、大学全体で手回し式の電話が1台あるだけだった。その中に16台の端末を配置し絨毯が敷かれエアコンが設置された部屋というのは、明らかに異質だった。当時、PLATOの端末を通してだけ外界とコミュニケーションが可能だった。 学生の多くは田舎から来ており、PLATO端末は彼らがはじめて見る電化製品だった。彼らがPLATOを使いこなせるかという懸念もあったが、実際に使わせてみると何の問題もなかった。1時間以内に多くの学生がシステムに慣れ、数学と科学について学んだ。特にキーボードのタイピング学習が人気を呼んだという。一部の学生はTUTORの使い方まで学び、さらにごく一部の学生はズールー語のコースウェアを書くところまでいった。 南アフリカでは企業内のトレーニングにもPLATOが使われた。先述したEskomは発電所のオペレータの教育にPLATOを利用し成果をあげている。南アフリカ航空 (SAA) は客室乗務員の教育にPLATOによるシミュレーションを採用した。他にも多数の企業がPLATOを社内教育に採用した。 CDCの南アフリカ支社はPLATO上で中学校の全課程のコースウェアの開発を推進したが、完成間近になって南アフリカから撤退することになった。これは、アメリカ合衆国でアパルトヘイトを行っている南アフリカへの反感が強まったためでもあり、またCDCがマイクロコンピュータの急速な発展に乗り遅れたためでもある。
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