匈奴・フン同族説の沿革とは? わかりやすく解説

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匈奴・フン同族説の沿革

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 02:51 UTC 版)

フン族の起源」の記事における「匈奴・フン同族説の沿革」の解説

1757年フランスの歴史学者ジョゼフ・ド・ギーニュ初めヨーロッパフン族匈奴関連性指摘した。彼は両者遊牧民としての習俗集団名類似性着目している。ただしギーニュは文化的言語学的民族的な関連付けには興味示さず何らかの政治的な組織存在して両者を「フン族」たらしめたと考えた。両集団結び付ける考え方は、イギリスの歴史エドワード・ギボンが『ローマ帝国衰亡史』 (1776年-1789年)の中で紹介したことで広く知られるようになった。ギーニュ説を解釈したギボンによればイランの(白い)フン族ヨーロッパフン族は、かつて中国近く存在した匈奴帝国崩壊した際に生き残った2つ別個の集団起源となったのだという。これ以降匈奴フン同族説はフン族を扱う多く歴史家たちに瞬く間受容されていった19世紀言語学者の間では匈奴フン族言語関連性見出そうとする議論活発に行われていた。この時期学者たちは言語と民族極めて密接に関係しているものと考えていたため、地理的に遠く隔てられた両民族が同じ言語共有していたと立証することが不可欠であると思われていた。匈奴フン同族説が広く受け入れられ一方でフン族フィン・ウゴル語派言語話し匈奴チュルク語族あるいはモンゴル語族言語話していたと考えて両者関連性否定する学者少なくなかった。また19世紀ロシア学者中にはフン族スラヴ語派言語話していたと考え、非スラヴ語派匈奴とは別物であるとする者もいた。19世紀後半歴史学者古典学ジョン・バグネル・ベリー最初ギーニュやギボンの説に疑義示し匈奴フン族はたまたま名前が似ていただけだと主張したが、後に立場改め両者の関係性を認めた20世紀初頭、ドイツ中国学者フリードリヒ・ヒルト(英語版)は、『魏書』を中心に中国史書検討しフン族匈奴の間の繋がり立証されたと主張したヒルト研究広く認められ1940年代には匈奴フン族何らかの関係性があるというのが歴史家考古学者の間での定説となっていた。ところが1945年オーストリア出身アメリカの歴史学者オットー・メンヒェン=ヘルフェンが、ヒルト中国史書誤読しているという主張行ったメンヒェン=ヘルフェン研究により、ヒルトの説は「大打撃こうむった」。さらにメンヒェン=ヘルフェンは、当時考古学民族誌学基づいた定説疑義示した彼の主著The World of the Huns (1973年)ではこの問題触れていないが、その他のいくつかの著作で、フン族匈奴をその名前を根拠同一視する説に反論している。著名なユーラシア学者デニス・サイナー(英語版)は、このメンヒェン=ヘルフェン懐疑論採用している。エッシェーとレベディンスキーは2007年に、フン族匈奴統治下あるいは影響にあった中央アジア・南シベリアあたりから来たとするのが妥当だろうと述べている。 クリストファー・ベックウィズ英語版)は、2009年に「ユーラシア学者一般的なコンセンサス」として、匈奴フン族無関係であるという見解示した一方でこれに対す反論も、歴史家のエティエンヌ・ド・ラ・ヴァシエール(英語版) (2005年2015年)、歴史家言語学者のクリストファー・アトウッド(英語版) (2012年)、考古学者林俊雄 (2014年)、歴史家のキム・ヒョンジン (2013年・2015年)らから出ている。しかし一方でこうした両者関連性主張する説について、2020年にはアレクサンドル・サヴェリエフやジョン・チュンウォンらが「現代学術界ではほんの限られた範囲でしか支持されていない」と述べている。2007年時点林俊雄は、ロシア・ハンガリー・ドイツでは同族説が有力だが、それ以外では懐疑論証拠不十分であるという研究者が多いとまとめている。

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