利用者側による要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 09:53 UTC 版)
電通総研の研究員は、若者におけるヒトカラ流行の背景にとして「『周囲の空気を読む』とされる若者気質の反動」を挙げており、「若者は人生の大半を不況下で過ごしているために失敗したくない気持ちが強く、複数人で行くと雰囲気を壊さないために消極的な理由で選曲しがちであることから、本来の欲求をヒトカラで満たしたい気持ちが高まってきたため」と指摘している。 インターネットや電子メール、携帯電話の普及がヒトカラ流行の背景とする意見があり、ニッセイ基礎研究所の研究員は「時間や場所を問わずに他人と繋がる機会が増えたことにより、逆に他人に気を使わず自由に行動したい欲求が強まった」と指摘し、博報堂生活総合研究所の研究員も同様に「他人と常に繋がっている状態に疲れ、全てを遮断して一人になりたい人が増えている」との指摘をしている。富山大学人文社会学部准教授の黒川光流は「実際に顔を合わせる人間関係を苦手、煩わしいと思う若者が増えている。人間関係の希薄化がカラオケの楽しみ方を変化させた」と指摘している。 名古屋商科大学商学部教授の小野裕二は「『一人焼肉』『一人プリクラ』など他人と触れ合わないマイペースな消費が若年層で広まっているのと同じ傾向」とした上で、前述したカラオケ配信業者が運営するSNSが流行している点を挙げ「趣味が同じならば見知らぬ相手と関係を持つことにも抵抗が少ない。若年層のコミュニケーションのあり方が変化してきている」と論じている。心理カウンセラーの根本裕幸は「普段の生活から隔離された非日常を楽しむもので、『癒やし』ブームのひとつ」と論じている。 フリーライターのもりひろしは、「そもそもカラオケに一人で行く行為はカラオケマニアにとっては不可避な選択であったが、広く世間に知られることはなかった」とした上で、「それが『ヒトカラ』という言葉と共に2ちゃんねるに書き込まれ、インターネット上に『可視化』されることによって知名度を増した」と分析している。 精神科医の香山リカは週刊朝日誌上にて、「今までのカラオケは『歌うこと』よりも『友達や恋人と過ごすための手段』であったり、『楽しい状況にある自分を周囲にアピールする』目的が大きかったが、現在は純粋に歌うことを楽しみたいとする人が増えてきている」と分析している。実際に全国カラオケ事業者協会が実施したアンケートによれば、20 - 24歳の男性がカラオケ店を利用する理由として「歌いたい歌があるから」という回答が21.5%を占めており、「自分が楽しみたいから歌う」という若年層のニーズは増加していると言える。
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