処女喪失の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 07:58 UTC 版)
どのような性的行為が処女の喪失をもたらすかについては、さまざまな考えがある。伝統的な見解では、同意しようがしまいが処女は陰茎の腟への挿入によってのみ失われ、オーラルセックス、アナルセックス、お互いのマスターベーションなどの膣への貫通を伴わないセックスでは処女喪失はしないとされている。膣への貫通を伴う性交をしないでアナルセックスや互いにマスターベーションしあう行為などをした人は、しばしば異性間性交や研究者の間で「形式上は処女」とみなされる。対照的に、ゲイやレズビアンの人々は、その行為で処女を失ったように表現することが多い。ゲイの男性の中には、陰茎を肛門に挿入することは処女の喪失ということになるが、オーラルセックスまたは非挿入性セックスは処女喪失にはならないと判断する人がいる。また、レズビアンはオーラルセックスやフィンガリングを処女の喪失とみなすことがある。従来の定義について議論する一部のレズビアンは、ペニスではないものが膣へ挿入されることが処女喪失になりうるかどうかを検討している。他のゲイやレズビアンは、一般的な従来の定義による処女という言葉は自分たちにとっては無意味なものであると主張する。レイプによって処女を失うことができるのかについても研究者の間では議論の対象となっており、処女は合意の上でのセックスによってのみ失われるという考えが一部の研究で広まっている。研究者で作家のローラ・M・カーペンターの研究では、多くの男女がレイプでは処女を奪うことができないと感じていることに関して議論をしている。そうした人たちの考えでは、処女が失われるのは「贈り物、汚名、プロセスの一部」[要説明]の3つの方法のいずれかの場合であるという。 カーペンターは、処女喪失を決定するものは同性愛者の間でも異性愛者の間でも同じように多様であり、場合によっては前者の間でより多様であるという認識があるにもかかわらず、この問題は、処女喪失に関連する性的行為を「自身の性的指向に対応する行為」と見なしている人々としてその問題が示されていると主張している。このことはつまり「あなたがゲイなら、ゲイはアナルセックスをすることになっている。そして、あなたがレズビアンならレズビアンはオーラルセックスをすることになっている。いずれもそれらはゲイやレズビアンがすることであるから。こういったことは処女喪失の標識のようになっている」。 オーラルセックスを利用した性的禁欲である「形式的処女」の概念は、青少年の間で人気が高い。例えば、オーラルセックスは、処女を保つためだけでなく、親密さを維持するため、または妊娠を避けるために彼氏の気を引く思春期の少女の間では一般的である。JAMA誌に発表された1999年の研究(米国医師会雑誌)では、米国29州の599人の大学生から無作為に抽出した1991人のサンプルに基づいて、セックスの定義が検討された。その結果、60%が口と生殖器の接触(フェラチオやクンニリングスのように)は性行為を構成するものではないと答えている。本研究の共著者であるキンゼイ研究所のステファニー・サンダースは、「それが今起きている『形式的処女』である」と述べた。これとは対照的に、同研究所が2008年に発表した「次のような場合、『セックスしたことがある』と言えますか?」と質問する研究では、所見の著者であるローラ・リンドバーグは、「10代の若者は形式的には処女であると主張しながら、性的に活発になる手段として、膣の外のセックス、特にオーラルセックスに参加するということは広く信じられていることだ」と述べたが、彼女の研究は「膣性交の代わりをオーラルセックスがつとめていると思われていることは、主に神話であることを研究が示している」という結論を導いた。 2003年にCanadian Journal of Human Sexualityに発表された、アメリカ、イギリス、オーストラリアの大学生を対象にした、性交の定義と注意点に焦点を当てた研究では、「これらの研究では、回答者の大多数(97%以上)が性行為の定義にペニスを用いた膣性交を含めており、陰茎を用いたアナルセックスを性行為とみなす回答者は(70%から90%で)少なかった」、「口を用いた性交の行動は、回答者の32%から58%の間でセックスと定義された」と報告している。キンゼイ研究所は別の調査で、18歳から96歳までの484人を対象に調査を行い、「この調査に参加した人のほぼ95%が、ペニスと膣を使った性交は『セックスをした』ことを意味すると考えている。 キンゼイ研究所の別の研究では、18歳から96歳の484人を対象に調査を実施した。「調査に参加した人の95%近くが、ペニスと膣を使った性交は「セックスをした」ことを意味すると考えているが、質問がより具体的になるにつれて、その数は変化した。11%の回答者が、男性がオルガスムを達成したかどうかに基づいて「セックスした」と答え、オルガスムがないことはセックスを構成しないと結論づけている。「回答者の約80%が、ペニスと肛門を用いた性交は「セックスをした」と答え、約70%の人がオーラルセックスはセックスだと考えている」。 異性愛の10代の若者や若い成人が行う処女誓約(または禁欲誓約)には、「形式的な処女」の実践が含まれる場合がある。社会学者ピーター・ベアマンとハンナ・ブリュックナーによる査読を経た研究では、誓約後5年経った処女誓約者を調査し、誓約者は他の人と比べて性感染症(STDs)の割合がほぼ同じであり、少なくとも処女誓約をしていない者と同等の高い割合でアナルセックスと口を使った性交があったことが明らかになり、誓約者は膣を使った性交の代わりに口を使った性交とアナルセックスをしていると推定された。しかし、男性が報告した膣を使った性交を伴わないアナルセックスのデータでは、このことを直接反映したものではなかった。
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