内閣法制局の国会での答弁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 16:31 UTC 版)
「新旧対照表方式」の記事における「内閣法制局の国会での答弁」の解説
改め文方式の利点と新旧対照表方式の問題点について、内閣法制局は、国会で次のような答弁を行っている。 内閣法制局におきましては、法令の正確性はもとより、これが国民にとってわかりやすいものとなるよう平素から意を用いているところでございます。また、法令案の作成事務の簡素合理化につきましても努力をしているところでございます。御指摘のいわゆる改め文と言われる逐語的改正方式は、改正点が明確であり、かつ簡素に表現できるというメリットがあることから、それなりの改善、工夫の努力を経て、我が国における法改正の方法として定着しているものと考えております。 一方、新旧対照表は、現在、改正内容の理解を助けるための参考資料として作成しているものでございますが、逐語的改正方式をやめて、これを改正法案の本体とすることにつきましては、まず、一般的に新旧対照表は改め文よりも相当に大部となるということが避けられず、その全体について正確性を期すための事務にこれまで以上に多大の時間と労力を要すると考えられるということが一つございます。また、条項の移動など、新旧対照表ではその改正の内容が十分に表現できないということもあると考えられます。このようなことから、実際上困難があるものと考えております。 ちなみに一例を申し上げますと、平成十一年でございますが、中央省庁等改革関係法施行法という法律がございました。改め文による法案本体は全体で九百四十ページという大部のものでございましたけれども、その新旧対照表は、縮小印刷をさせていただきまして、四千七百六十五ページに達しております。これを改め文と同じ一ページ当たりの文字数で換算いたしますと、二万一千三百五ページということになりまして、実に改め文の二十二倍を超える膨大な量となってしまう、こういう現実がございます。 — 横畠裕介政府参考人(内閣法制局総務主幹)、平成14年12月3日第155回国会総務委員会第9号にて 今ほど、先生からお話しいただきました改め文と言われる逐語的改正方式でございますが、改正点が明確であり、かつ簡潔に表現できることから、従来より我が国における法改正の形式として用いられているものであります。 一方、新旧対照表でございますが、現在は改正内容の理解を助けるための参考資料として作成しているものでありますが、逐語的改正方式をやめてこれを改正法案の本体にするということにつきましては、一般的には新旧対照表は改め文よりも相当に大部となることが避けられません。 したがいまして、全体について正確を期するための事務にこれまで以上に多大の時間と労力を要すると考えられること、また、改正法案を国会で御修正いただく場合には、現在、新旧対照表は新しい部分ともともとの部分の二段の表になっていますが、場合によっては、それをさらに三段、四段組みにすることが必要になるというような議論もございます。 したがいまして、御指摘のような新たな改正方式につきましては、国会で合意いただくことが大前提であるというふうに私どもは考えております。 — 林徹政府参考人(内閣法制局総務主幹)、平成22年3月1日第174回国会予算委員会第一分科会第3号にて いわゆる改め文と言われる逐語的改正方式は、その形式を定めた法令はございませんが、論理的順序に従って必要な改正処理を順次行っていくものでございまして、改正に係る立法者の意思を明確に表現することができることなどから、従来より我が国における法改正の方法として用いられているものでございます。 新旧対照表は主として改正内容の理解を助けるための参考資料として作成されているものでありますところ、改め文方式をやめて新旧対照表を改正法案の本体とすることにつきましては、平成十五年に政府部内で内閣法制局も参画する形で検討を行い、その結果を踏まえ、新旧対照表を用いる新たな改正方式について国会で検討いただいた結果、取りやめとなった経緯があると承知しております。 そういった経緯もございますことから、国会で合意いただくことが大前提であるというようなことだと考えております。 — 嶋一哉政府参考人(内閣法制局総務主幹)、令和3年4月6日第204回国会経済産業委員会第2号にて
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