側室制度(一夫多妻制)について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 12:01 UTC 版)
「皇位継承問題」の記事における「側室制度(一夫多妻制)について」の解説
皇室では長らく、日本独自の一夫多妻制であった側室制度(非嫡出男子の皇位継承権)が認められていたが、近代になると側室は減り、戦後は完全な一夫一婦制によりこれを認めなかった(非嫡出男子の皇位継承権を認めない)。 そして、このかつての側室制度を復活させることにより、皇位継承問題についての問題が緩和されるのではないか、との議論が一部存在するが、現在の日本では側室制度や一夫多妻制が制度化されておらず、さらに婚外の恋愛(いわゆる不倫)そのものに対する世論の反感が大きいことから、賛同者は少ない。 側室制の復活に対する反対論 離婚すれば良いだけの問題である。ただし、跡継ぎを産めなければ離婚、さらに跡継ぎのために新しい女性と再婚という制度は側室と同じように現代社会の価値観から逆行するとも言える。 現在の日本、及び他の先進国の倫理観から見て、問題がある。 国民の間では一夫一婦制が定着しており、天皇・皇族のみが国民から更に乖離することになる。 側室制度が復活した場合、現代において側室になろうという女性がいるかどうか、また将来側室をとることになっている男性のもとに正妃として嫁ごうという女性がいるかどうか、という点まで視野を広げれば、側室制度を復活させたがために肝心の正妃をも得ることができなくなる危険性をはらんでいる。 全ての先進国で一夫一婦制が採用されている現在の国際社会において、側室を復活させれば、一部の国を除いて日本の近代文明国としての品位が疑われかねない。 現在では、医学の進歩によって乳幼児の死亡率は下がっており、側室制を復活させずとも、一夫一婦制でも男系による皇位継承は十分に可能である。 男性皇族本人が不妊症を患っていたり、性的指向が女性を対象としていないなどの要因で、たとえ側室を娶っても子に恵まれない場合もある。 ただし、側室復活の論議に関わらず、今日に至るまで日本の皇室において「非嫡出子の相続」そのものが認められていない。この制度は明治以降に導入されたものではなく、戦後に初めて導入されたものである。そもそも側室制度は明治以降の皇室典範に明記されたものではなく、非嫡出の男子においても皇位継承権を認めることにより間接的に許容されたものであった。 一方で民間においては、2013年12月の民法一部改正(平成25年12月11日法律第94号)までは非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする規定(旧・900条4号)が設けられていた。しかし、この規定については2013年9月4日に最高裁大法廷によって違憲判断が下された ことにより、相続差別は違憲として法改正が成されている。 しかしながら、皇室においては側室制度と切り離せない非嫡出子の相続規定においては議論が進んですらいないのが現状である。また、日本では父子関係は認知による関係構築がDNA鑑定などの科学的な親子関係証明に優先されるため、「父親」にあたる皇族の認知如何では、血縁上皇統でない人間が皇位継承者となる恐れが存在する。
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