信奉されていた神々とそれにまつわる神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/21 15:08 UTC 版)
「リトアニアの宗教」の記事における「信奉されていた神々とそれにまつわる神話」の解説
ここではリトアニアで信奉されていた主要な神々とそれにまつわる神話(いわゆるバルト神話)を挙げる。 ディエヴァス (Dievas) 天空の男神で最高神とされる。元々「ディエヴァス」は「天空」を意味していた。容姿端麗で王の姿をしており剣を帯びる。天の上では銀のマントを着用しているが、地上に降り立つ時には灰色の亜麻のマントを身に着ける。地上に降り立つ時は人々の畑に近づき、農民に豊穣をもたらすという。天の丘のかなたにある銀の扉が3つある宮殿に住み、馬を飼い、そして農園を保有している。ヒンドゥー教のデーヴァ (Deva) と語源を同じくする。 ペルクーナス (Perkūnas) 雷の男神で、ディエヴァスに次ぐ主要な神。銅のひげを生やし、斧を携えている。生命を生まれ変わらせる、転生の力を持つ。ヒンドゥー教のパルジャニヤ (Parjanya) やスラヴ神話のペルーン (Perun) と同じ神。 アウシュリネ (Aušrinė) 明けの明星(金星)の女神。姉妹にはインドラヤ、ヴァイヴォラ、ヴァカリネ、ジエズドレ、セリヤがいる。母はサウレで父はペルクーナス。インド神話のウシャスやギリシャ神話のエーオース、ローマ神話のアウロラに類似する。 インドラヤ (Indraja) 木星の女神。 ヴァイヴォラ (Vaivora) 水星の女神。 ヴァカリネ (Vakarinė) 宵の明星(金星)の女神。 ガビヤ (Gabija) 聖なる火を守る女神。 サウレ (Saulė) 太陽の女神。銅の車輪のついた馬車で天の丘を駆け、娘たちとともに天の丘のかなたのディエヴァスの宮殿の隣にある城館に住む。また夕暮れ時になると馬車を海の中に止め馬を洗い、そして黄金の舟に乗り換える。かまどの火の神でもあり、火のそばに住みつくヘビを寵愛する。バルト人は夏至の日にサウレを敬う祭を開いた。ヒンドゥー教のスーリヤ (Surya)に相当する。 ジエズドレ (Žiezdrė) 火星の女神。 ジェミナ (Žemyna) 大地の女神。霊魂を冥界に導く。名前はペルシャ語やヒンディー語で土地を表す zamin に由来する。 セーリヤ (Sėlija) 土星の女神。 メヌオ (Mėnuo) 月の男神。軍神でもある。灰色の馬に牽かれた二輪馬車に乗り、星座のガウンを着用している。元々はサウレと結婚していたが、アウシュリネと恋に落ちて彼女をさらい、結婚をせまったために、その父であるペルクーナスの罰を受けて真っ二つにされた。これにより月の満ち欠けが生じたとされる。 ユーラテ (Jūratė) 海と海の生き物の女神。バルト海の中にある琥珀の城に住む。ある日、漁師のカスティーティス (Kastytis) に恋をして彼を海中にある自宅へと連れ帰ったが、「人間を愛してはいけない」という神の掟を破ったユーラテに怒ったディエヴァスは、ユーラテを幽閉してカスティーティスを殺し、さらにユーラテの館を破壊した。壊されたユーラテの館の破片は大きな琥珀となり、恋人のことを想って流すユーラテの涙は小さな琥珀となったとされる。 リエトゥヴォニス (Lietuvonis) 雨の男神。ペルクーナスと同一とする説もある。
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