体格に関する議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 19:49 UTC 版)
「ギガノトサウルス」の記事における「体格に関する議論」の解説
2001年、物理学者の Frank Seebacher は3次元方向の大きさを変数に用いる恐竜の体重推定計算の新しい多項式法を提唱し、12.5メートルという当初の推定に基づいてギガノトサウルスの体重を6.6トンと見積った。コリアとカリーは2002年にギガノトサウルスの脳頭蓋を記載し、その際にホロタイプの頭骨長を1.6メートルと見積り、大腿骨体の周囲長520ミリメートルを外挿することで体重を4.2トンと推定した。脳化指数は1.9であった。2004年、古生物学者 Gerardo V. Mazzetta らは、ギガノトサウルスの大腿骨がスーのものよりも大きい一方で脛骨が8センチメートル短い1.12メートルであることを指摘した。彼らはホロタイプ標本をティラノサウルスと同等の大きさで、体重は8トン(スーよりも僅かに軽い)とした。しかし同時に、より大型の歯骨は、等比数列的にホロタイプ標本と類似するのであれば、同様に推定した場合体重10トンの個体のものである可能性が浮上した。多変量回帰分析を行うことにより、彼らはホロタイプ標本を6.5トン、大型の標本8.2トンと見積る、別の推定値も算出した。この場合、後者は陸上の動物食性動物において史上最大ということになる。 2005年に古生物学者のクリスティアーノ・ダル・サッソ(英語版)らは、オリジナルの化石が同様に第二次世界大戦で破壊されていたスピノサウルスの新しい吻部の化石を記載し、全長16 - 18メートル、体重7 - 9トンと結論付け、他の度の獣脚類の最大値をも上回るとした。2006年にコリアとカリーは、パタゴニアからギガノトサウルスに近縁で体サイズも近いマプサウルスを記載した。2007年には、古生物学者 François Therrien と Donald M. Henderson がギガノトサウルスとカルカロドントサウルスのいずれも全長13.5メートル、体重13.8トン(ティラノサウルスを超過)であったとし、ギガノトサウルスのホロタイプ頭骨長を1.56メートルと推定した。ただし彼らは、この測定値が不完全な頭骨の復元のされ方に依存しており、より正確な推定値を得るにはより完全な標本が必要であることを指摘している。また、彼らはダル・サッソらのスピノサウルスの復元が余りにも大きすぎるとし、全長14.3メートル(最低12.6メートル)、体重20.9トン(最低12トン)と見積った。彼らは、これらの恐竜が厳密な二足歩行の動物における生物機能学的な上限に到達していると結論付けた。2010年には、古生物学者グレゴリー・ポールはカルカロドントサウルス類の頭骨が余りに長く復元され過ぎていると提唱した。 2012年、古生物学者マシュー・T・カラノらは、ギガノトサウルスはその巨体ゆえに多くの注意を引いていおり、ホロタイプ標本も比較的完全であるにも拘わらず、脳頭蓋を別にして詳細な記載が行われていないと指摘した。彼らは頭骨を構成する骨の多くの接触面が保存されておらず、そのため合計の頭骨長が曖昧になっていると指摘した。彼らはギガノトサウルスとカルカロドントサウルスの頭骨長がティラノサウルスと丁度等しい長さであるとし。またギガノトサウルスのホロタイプ大腿骨長を1.365メートルと計測して、体重は全体的に小さくなるであろうことを発見した。 2014年、ニザル・イブラヒム(英語版)らはダル・サッソらにより記載された吻部に合わせて拡大した新標本に基づき、スピノサウルスの全長が15メートルを上回ると推定した。これによりスピノサウルスは既知の肉食恐竜で最大の属となった。2019年には、古生物学者W・スコット・パーソンズらがティラノサウルスの標本スコッティを記載し、他の大型樹脚類よりも頑強であると推定しつつ、カルカロドントサウルス科に属するギガノトサウルスとティラノティタンの大腿骨のプロポーションからは他の成体のティラノサウルスよりも体重が重かったことが示唆されていると主張した。彼らは、これらの獣脚類がティラノサウルスに比べ標本が少ないことを指摘し、大型のギガノトサウルスの歯骨に示唆されるようにスコッティよりも大型の標本が将来的に露わになるかもしれないと主張した。スコッティの大腿骨周囲長が最長であるものの、大腿骨長自体はギガノトサウルスの方が10%長い。しかし、パーソンズらは大型獣脚類の系統群間で比較を行うのは難しいと主張している。
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