佐藤方定の見解とは? わかりやすく解説

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佐藤方定の見解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 08:40 UTC 版)

大同類聚方」の記事における「佐藤方定の見解」の解説

佐藤1831年天保2年)の著書奇魂』(くしみたま)において、当時流布していた『大同類聚方』の伝本明白な偽書であるとし、その論拠として以下の点を挙げている。 3種ある伝本内容構成相違見られる1828年文政11年)に刊行され伝本では初めに記されている。しかし別の伝本では用終わり記されている。その内容前半1773年安永2年刊行の 『大同類聚方抄本1787年天明7年刊行の『大同類聚方抜萃』に似ているが、後半前述文政11年刊本似ている。他に24巻までが欠けており、用終わり記されている伝本もある。 807年大同2年)に成立した古語拾遺』は漢文によって記されており、『日本後紀』における『大同類聚方成立について記述も同様である。『万葉集』和歌万葉仮名表記しているが、詞書はやはり漢文である。しかし伝本では宣命体用いられている(ただし後述の『勅撰真本大同類聚方』でも宣命体用いられている)。 伝本用いられる仮名『万葉集』見られるものと一致しない。また伝本における文言も『大同類聚方』の時代にまで遡るものではない。 伝本における各巻記述あまりにも少なく一巻につき2枚から3枚ほどの量しかない。これは全巻共通しているため、全て虫損原因であるとは考えられない伝本には「従五位下典薬頭阿部朝臣真貞」とある。しかし『日本後紀』では名を「真直」としており、また真直典薬頭であったとの記述はない(ただし『勅撰真本大同類聚方』の記述伝本と同様であり『日本後紀』と一致しない)。 伝本には「侍医従六位上出雲宿禰広貞」とある。しかし『日本後紀』では広貞を外従五位下としており、また広貞の『大同類聚方編纂時の姓は連であって812年弘仁3年)に宿禰の姓を賜ったとある。 古林見宜医療配剤』に「大同類聚方曰、痘瘡、始起自聖武天皇御宇、釣者遇蕃人継此病、称裳瘡一児患之、則一村流行也、猶裳之曳下、故名、焉初生児、食金箔、不患之」とある。この文は『日本後紀』にある『大同類聚方成立のついての記述古書における痘瘡記述矛盾せず、信頼できるのである。しかし伝本ではこれに相当する記述確認できない伝本には加賀国という語が見える。しかし加賀国越前国から分離したのは『大同類聚方成立よりも後の823年弘仁14年)である。 伝本では茶色という語が用いられている。しかし史料上で確認できるのは嵯峨天皇時代からであり、『大同類聚方』が成立した時期このような表現用いられるとは考え難い。 『続日本紀』天応元年781年4月3日条では光仁天皇について「元来風病爾苦」としており、また『日本後紀大同4年809年4月1日条では平城天皇について同様の表現用いられている。また『栄花物語』(巻13ゆふしで)にも「この殿は、ちいさくより、風おもくおはしますとて、かぜの療治どもを、せさせ給」という記述見えるなど、当時史料から「風病ないしは「風」(かぜ)という語は慢性的な疾患の名称であったことがわかる。しかし伝本では感冒の意で「風病」という語が用いられている。 そして佐藤は、師にあたる本居宣長この伝本について鎌倉時代のあたりに著されたものと推定したことから、当時大同類聚方』とは異なる書として著されたものが後代改竄されたか、あるいは当時から偽書として著されたものではないかとした。 1852年嘉永5年)に著された花野井有年医方正伝』には、のちに佐藤後述する延喜年間写本典薬寮本)と延長年間写本発見したとある。佐藤1856年安政3年)から、この典薬寮本底本とし前述延長本および寛仁年間写本との異同示した勅撰真本大同類聚方』(大同類聚方寮本)の刊行開始した1858年安政5年)の著書『備急八新論』において佐藤は「流布印本偽書ナル奇魂ニ弁セリ正本ニ因ルヘシ」としている。

※この「佐藤方定の見解」の解説は、「大同類聚方」の解説の一部です。
「佐藤方定の見解」を含む「大同類聚方」の記事については、「大同類聚方」の概要を参照ください。

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