典薬寮本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 08:40 UTC 版)
『勅撰真本大同類聚方』所収の典薬寮本と『日本医学叢書』所収の『大同類聚方』(全100巻)には、以下のような相違が見られる。 典薬寮本には典薬寮印が押されており、また「延喜十二年正月写 深根輔仁」「延喜十三年五月一校了 大医博士 深江朝臣輔仁」との記述が見える。 典薬寮本では天皇への上表文、医官の心得を説いた医式、日本における医薬の祖とされる大穴牟智命、少彦名命、武内宿禰の教えが記されている。また薬を調合する際の分量も明記されており、いずれも流布伝本には存在しない記述である。 典薬寮本の上表文では前述した5名の編者が記載されている。このうち出雲広貞は「外従五位下兼行侍医典薬助但馬権掾臣出雲連広貞」とあって、『日本後紀』の記述と一致している。しかし安倍真直については「従五位下典薬頭兼行左大史大舎人助相模介臣安倍朝臣連真貞」とあり、流布伝本と同様『日本後紀』の記述とは一致しない。 典薬寮本では古字古韻が用いられており、則天文字など多くの異体字が見られる。 典薬寮本では宣命大書体が用いられており、宣命小書体を用いている流布伝本とは異なる。 典薬寮本では「一之巻」のように巻数を記しており、これは『古事記』や『令集解』に引用される『古記』と共通する。一方、流布伝本では「巻之一」のように巻数を記しており、こちらは『日本書紀』や『令集解』と共通している。
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