伝承、伝説におけるマンドレイク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 10:24 UTC 版)
「マンドレイク」の記事における「伝承、伝説におけるマンドレイク」の解説
魔法薬や錬金術、呪術にも使われる貴重な材料であり、一説には精力剤、媚薬、または不老不死の薬の原料とも言われる。外見は人参に似た形状をしているが、地中に埋まっている先端部分が二股に分かれて足のようになっており、人間のようにも見えるという。マンドレイクは完全に成熟すると自ら地面から這い出し、先端が二又に分かれた根を足のようにして辺りを徘徊し始める。その容貌はゴブリンやコボルトに似て醜いものとされる。 「無実の罪で処刑された」男の精液から生えると考えられたマンドレイクは、処刑場の絞首台に自生しているといわれた。また、ガリア地方では、「樫の樹」の根の辺りにも生えるといわれた。澁澤龍彦は、ジャンヌ・ダルクが、ドンレミ村の「妖精の樹」の周りに自生するマンドレイクを常に所持していたという伝説を紹介している。またこの植物は、食べたものが性的に興奮するため、大人しいゾウが繁殖期に食べるといわれた。 地面から引き抜く際にすさまじい悲鳴を上げるとされており、この声を聞くと精神に著しいショックを受け、正気を失ってしまう。この性質からマンドレイクの収穫にはかなりの危険を伴うため、犬を茎に繋いでマンドレイクを抜かせるという方法がイタリアの著述家ヨセフスによって提案された。 採集者はまず禁欲的な生活を長期間行った後で、自生地へ赴く。採集にあたり、性的に興奮させる言葉で植物をはやし立て、近づいた後、自分になついている黒犬を紐でマンドレイクに繋いで、自分は遠くへ行きそこから犬を呼び寄せる。すると犬は自分のもとに駆け寄ろうとするので、その勢いでマンドレイクが抜ける。犬は悲鳴で死んでしまうが、犬一匹の犠牲で無事にマンドレイクを手に入れることができるという方法である。 また、首尾よく抜いたとしても上述の通り走って逃げることがあり、その際は女性の尿あるいは経血をかけると止まるとされる。 アト・ド=フリースによれば、ヨーロッパでは旧来、いわゆる恋茄子ではなく、ユリ バラ ユキノシタ ジャスミン メロン 料理用のバナナ キイチゴ の根、またランのうち球根が男根(形状と臭気)に似る種類、また別種の驢馬の耳のような形をするものがマンドレイクだとされたという。 大プリニウス『博物誌』wikisource:la:Naturalis_Historia/Liber_XXV#XCIIIによれば、マンドラゴラはかつてこれから取られる液が目薬の材料として使われたことがあり、臭気が強く、男のマンドラゴラが白、女のマンドラゴラが黒い色をし、ヒッポプロモス、キルカエオン、アルセン、モリオンとも呼ばれる。また、南方熊楠は、プリニウスの『博物誌』に登場する「ケンツムカビタ(「百頭草」の字があてられる)」は、「根に男女あり」、「男性のようなものは男が帯びると娘に言い依られる」、「ファオンはこの根を持っていたためにサッフォーに慕われた」、とある点から、マンドレイクであるという説を展開している。
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