事件発生から逮捕・送検まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 14:50 UTC 版)
「尖閣諸島中国漁船衝突事件」の記事における「事件発生から逮捕・送検まで」の解説
海上保安庁発表と流出した動画(後述)によれば、9月7日午前10時15分頃、尖閣諸島最北端に位置する久場島北西約12キロの付近の海域をパトロールしていた第十一管区海上保安本部所属の巡視船「みずき」が、不審な中国籍のトロール漁船『閩晋漁(びんしんぎょ)5179』を発見、日本領海での違法操業が確認されたため退去命令を出した。しかし漁船はこれを無視して違法操業を続行、揚網後に漁船の舳先を巡視船「よなくに」に向けつつエンジンの出力を上げて増速、「よなくに」の左舷後部に接触しそのまま逃走を開始した。これを受けて「みずき」が追跡を開始し並走して停船を命令するも、漁船は「みずき」の右舷に船体を接触、なおも逃走を図った。この時の様子は距離をとって漁船を監視していた巡視船「はてるま」と衝突された2隻の巡視船によりビデオ撮影されている。海上保安庁は8日に強行接舷して漁船を停船させ、船長を公務執行妨害で逮捕し、石垣島へ連行した。船長を除く船員も同漁船にて石垣港へ回航、事情聴取が行われた。捜査関係者は「海保職員が船長を連行する際、酒臭かった」と証言している。翌9日には、船長は那覇地検石垣支部に送検され取調べが始まった。 本来なら、外国船舶が領海内で違法操業や目的のない徘徊をしている疑いがある場合は、外国人漁業の規制に関する法律違反や領海等における外国船舶の航行に関する法律違反等の疑いがあるとして、漁業法に基づいて停船を命令し立入検査の実施を求め、違反していた場合は該当する法律を根拠に、逃走した場合は漁業法違反(立入検査忌避罪)によって逮捕することになっている。尖閣諸島の領海では中国への配慮から、例外として領海外への退去命令のみに収めていたが、今回は漁船が2度にわたって衝突を繰り返すなど悪質なことから「公務執行妨害」での逮捕となった。なお、この際、尖閣諸島領海内で100隻程度の中国漁船が領海へ出入りを繰り返し違法操業をしていたことが明らかになっている。 この日本側の動きに対して中国外務省報道官は、「日本は司法にのっとって即時に船長を安全に解放すべきだ」と発表した。また、尖閣諸島周辺を自国の領海・領土と強調した上で、「その海域で操業していた自国の漁船に日本の国内法が適用されるなど荒唐無稽だ。非合法で効力はない」と主張・報道し、「関係海域周辺の漁業生産秩序を維持し、漁民の生命・財産を保護する」目的として、同海域に向け漁業監視船を既に派遣したとを発表した。この漁業監視船は農業部漁業局の「漁政201」と「漁政202」であり、7日に出航した2隻は10日から17日まで尖閣諸島の接続水域に進入・徘徊し、海上保安庁の巡視船やヘリコプター、海上自衛隊のP-3C哨戒機の監視と警告を受けた。
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