主要事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 04:25 UTC 版)
旅客機の緊急着陸は、そのほとんどは事故にならずに済んでいる。ただし、緊急着陸は、本質的に不確実なものであり、落着 (crash landing) などの事故につながる可能性が常に存在する。アイルランドのシャノン空港は、東行きの大西洋横断飛行を開始後、最初に通過する主要空港であるため、緊急着陸に用いられる回数が多いことで知られる。 1940年2月5日、沖縄から台北へ向かう大日本航空機(ダグラス DC-2)が右エンジンに不調をきたし、沖縄県尖閣諸島魚釣島沖合に不時着水(大日本航空阿蘇号不時着事故)。機体は胴体が真っ二つになったが、乗員・乗客13人は魚釣島に上陸して無事。 1983年7月23日、エア・カナダの ボーイング767がカナダにおいて燃料切れのため緊急着陸した。この事例は、ギムリー・グライダーと呼ばれる。 1982年6月24日、ブリティッシュ・エアウェイズ9便(ボーイング747)が、クアラルンプールから西オーストラリア州のパースに向かう途中で火山灰の噴煙を吸い込み、4つのエンジンすべてが停止した。その後、3つのエンジンの再起動に成功し、最終的にはジャカルタのハリム・ペルダナクスマ国際空港に目的地外着陸した。 1988年4月28日、アロハ航空243便(ボーイング737)が、 約35平方メートル(約380平方フィート)のアルミ外板が胴体から分離して爆発的減圧 (explosive decompression) が発生し、マウイ島のカフルイ空港に目的地外着陸を行った。キャビンの減圧により1名の客室乗務員が機外に吸い出されたが、それ以外の乗員・乗客は全員無事だった。 1988年5月24日、 タカ航空110便(ボーイング737)が悪天候のために両エンジン停止状態になったが、ニューオリンズ郊外のアメリカ航空宇宙局ミシュー組立施設(英語版)の草地の堤防に無動力着陸 (deadstick landing) することに成功した。乗客が軽傷を負い、機体に軽度の損傷が生じた。エンジンメーカーであるCFMインターナショナルは、調査結果に基づき、エンジンの不時停止を防止するための設計変更を行った。 1989年2月24日、ユナイテッド航空811便(ボーイング747)が、貨物ドアの故障により機体の一部が9名の乗客と一緒に分離して機内の急減圧が発生し、オアフ島のホノルル国際空港に緊急着陸した。 2001年8月24日、エア・トランザット236便(エアバスA330)が大西洋上で燃料を使い果たし、アゾレス諸島に不時着した。 2011年11月1日、 LOTポーランド航空16便(ボーイング767)が、油圧系統に故障が発生し、ポーランドのワルシャワ・ショパン空港に胴体着陸 (belly landing) した。負傷者はなかった。 1977年4月4日、サザン航空242便 (DC-9) が、雷雨の中を飛行したことにより、両方のエンジンが停止した。空港まで滑空することができず、アメリカ合衆国ジョージア州ニューホープの高速道路に緊急着陸を試みたものの、落着 (crash landing) した。燃料が大量に残っていたため、ハードランディング (hard landing) した際に機体が炎上し、多数の乗員・乗客と地上にいた数名が死亡した。 1989年7月19日、ユナイテッド航空232便 (DC-10) が、アメリカ合衆国アイオワ州[スーシティに不時着したものの、大破した。 1983年6月2日、エアカナダ797便 (DC-9) が、キャビン内で火災が発生し、シンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港に緊急着陸したものの、火災により多くの乗客が死亡した。 2007年4月29日、TUIエアウェイズ253便(ボーイング757)が、離陸時に右側エンジンに鳥を吸い込み、予防着陸した。アマチュア写真家が撮影した動画が、 YouTubeで公開されている。
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