中央競馬における馬場状態の確認手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 02:26 UTC 版)
「馬場状態」の記事における「中央競馬における馬場状態の確認手法」の解説
開催当日の早朝に本馬場からサンプル採取が行われる。芝コースの含水率(gannsuiritsu)の測定サンプルは4箇所(直線のゴール前100m地点、2コーナー、3コーナー、4コーナー)から採取、ダートは3箇所採取している。 芝コースのサンプルは表面の芝やマット層(根や茎が存在している層)ではなく、更に下層の路盤の層から採取する。馬場状態に影響しているのは路盤の土の層であり、芝やマット層では植物自体の水分も多く含まれる事により、正確な含水率を採取出来ないためである。 一方、ダートコースの場合は、砂なので保有水分のばらつきは芝に比べ少ない。そのため、路盤の土までは採取せず、表層のクッション砂よりサンプルを採取している。 サンプル採取後はサンプルを測定器へ掛けて含水率を算出する。測定器は赤外線水分計を用いており、赤外線の熱によって水分を蒸発させることにより、測定前と測定後のサンプルの重量を比較することで含水率を算出する。芝コースは最低値と最高値の2箇所を除いた残り2箇所の算出平均値、ダートコースは3箇所の算出平均値が用いられる。 含水率の基準として東京競馬場の例(2011年時点)を挙げると、芝コースの場合は「良」で17%以下、「稍重」で17〜20%、「重」で20%〜23%、「不良」で22%以上となっている。 一方、ダートコースの場合は、「良」で10%未満、「稍重」で10〜13%、「重」で13%〜16%、「不良」で16%以上となっている。 なお、芝コースは各競馬場において路盤の土や産地が違うため、含水率の基準値は中央競馬の各競馬場ごとに差がある。それに対しダートコースの場合は、中央競馬の全競馬場において青森県の六ヶ所村付近の海砂を採用しており、各競馬場ごとの基準値に大きな差はない。 含水率を算出した後は、朝にもう一回馬場取締委員を交えて馬場の踏査が行われる。踏査の後に含水率をベースに踏査結果や当日の天候が勘案され、馬場状態の判断・発表となる。馬場状態を発表後、レースが始まった後は馬場職員をコースへ配置して馬場状態の変化を見極め、変化があった時点ですぐに馬場状態の変更発表を行っている。 なお、含水率の調査タイミングは基本的に早朝に一度行われるのみである。その理由として、含水率の調査には1時間程度を要するため、降雨が続いている様な状況では馬場の含水率が判明するまでの間に含水率のデータが変わってしまうためである。 JRA施設部馬場土木課課長の新屋勇人によると、その様な状況であれば経験を積んだ馬場職員に馬場の状態を見てもらった方が正確で早いという。また、馬場に携わっている人であればプラスマイナス1%の誤差の範囲で含水率が分かるという。 含水率は2018年の第2回新潟競馬・第2回小倉競馬・第1回札幌競馬の開幕週からJRAホームページおよびRFラジオ日本で開催当日の朝に放送される直前情報番組『中央競馬大作戦』で公表を開始。2020年の第4回中山競馬・第2回中京競馬からは芝コースのクッション値も公表されるようになった。 詳細は「中央競馬大作戦#馬場状態の説明」を参照
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