中国国内の概況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 06:59 UTC 版)
「中国産食品の安全性」の記事における「中国国内の概況」の解説
中華人民共和国の主要な農産物には米、トウモロコシ、小麦、大豆、綿、リンゴ、主要な畜産物は豚肉、牛肉、乳製品と卵などがある。中国の農業のシステムはそのほとんどが小さな地主農家 と自給自足の農家によって成り立っている。しかし中国の耕作可能地は他国より狭く、農家は高い生産性を維持するため肥料と農薬を集中的に使用している。 中国の社会主義計画経済時代には、食料政策は品質面よりも量的確保が重視されたため、衛生面は軽視され、制度的整備も十分ではなかった。改革開放以降の1995年になってようやく食品衛生法が制定された。経済成長に伴い、中国の生産物や食品は世界市場と都市部のスーパーマーケットに出荷されるようになり、1990年代後半には中国の農場は特定の作物用により専門化され、地方の市場は国内外の市場により強く連結されるようになった。しかし、地方当局は中央政府が介入しない限り、大まかな規制しか行ってこなかった。 中国は2001年にWTOに加盟するが、その翌年の2002年の中国の食品工業の生産高は1兆元程度だった。しかし2009年には約5兆元となり7年で5倍となった。なかでも肉製品、乳製品、缶詰の生産額が増大し、中国都市部の食生活は高度化し、また多様化が急速に進んだ。 一方で中国では特供体制(中国語版)と呼ばれる、中国共産党幹部には新鮮で安全な食材を提供される制度が毛沢東時代からあり、庶民より衛生的な食生活をおくっていた。 中国政府は2000年頃より食品輸出促進のための政策をとるようになり、先進国をはじめとする国際社会の食品安全基準は中国を貿易差別するもので「緑色貿易障壁」だとして国際社会を非難したが、その後、国家品質監督検査検疫総局(質検総局)などを創設するなど制度整備に急速に取り組むようになった。輸出食品の品質向上が優先される一方、国内流通の食品安全対策は遅れたままとなり、2000年代・2010年代には、様々な食品汚染問題が、中国国内および輸出品目においても多発するようになった。
※この「中国国内の概況」の解説は、「中国産食品の安全性」の解説の一部です。
「中国国内の概況」を含む「中国産食品の安全性」の記事については、「中国産食品の安全性」の概要を参照ください。
- 中国国内の概況のページへのリンク