中国全誌
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「ジャン=バティスト・デュ・アルド」の記事における「中国全誌」の解説
デュ・アルド本人は中国を訪れたことはなかったが、中国に派遣されたイエズス会士の報告をもとに、1735年に『中華帝国と中華韃靼の地理・歴史・年代・政治・事物の記述』(中国全誌)全4巻を出版した。この書物はイエズス会士の著作をもとに構成された百科事典風の書物で、ヨーロッパ人の中国研究の集大成とも言える著作であった。 Description géographique, historique, chronologique, politique et physique de l'empire de la Chine et de la Tartarie chinoise. Paris: P.G. le Mercier, imprimeur-libraire. (1735). http://www.biusante.parisdescartes.fr/histmed/medica/cote?00992 第1巻は序論、地理、年代、用語集で、地理はジャン=バティスト・ブルギニョン・ダンヴィル(フランス語版)による精密な地図が附されている。この地図は康熙帝のもとで宣教師が組織的に行った測量データを元にしており、従来のものより格段に精度が高かった。年代は伏羲からはじまり、堯から後は西暦の年代を記しているが、堯の即位を紀元前2357年としている。 第2巻は中国のさまざまな事物に関する議論で、中国の政治・経済・風俗・言語・教育などについて記す。また儒教の経書の紹介、中国の各時代の文献の翻訳抜粋を収録している。 第3巻は中国の宗教、道徳、音楽、数学、天文学、文学、医学など。イエズス会によるキリスト教の布教史や、南明の孝正皇后から教皇にあてた手紙、元曲『趙氏孤児』のプレマールによる翻訳などを収録する。 第4巻は満州・モンゴル・朝鮮・チベットなど周辺地域について。フェルビースト、ジェルビヨン、レジスらによる旅行記を載せる。また、各地の緯度・経度の一覧を載せる。 『中国全誌』は翌年ハーグで海賊版が出版された。また英語(1736)、ドイツ語(1747-1749)、ロシア語(1774-1777、抄訳)にも翻訳された。
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