不正・問題点・助成対象選定への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/26 10:10 UTC 版)
「科学研究費助成事業」の記事における「不正・問題点・助成対象選定への批判」の解説
平成27年度(2015年)から令和3年度(2021年)に不正が確定したモノにおける、「研究機関名、不正が行われた年度 、不正の種別 、不正に支出された、研究費の額、不正に関与した 研究者数 (実人数)、最終報告書提出日 、最終報告書の概要 (調査結果、再発防止策、関係者の処分等」を公表している。 平成23年度(2011年)以降、科研費の一部種目が基金化されたことにより、従来の補助金では単年度ごとに予算執行計画を立てなければならなかったが、基金分の種目については、複数年度にわたり予算執行が可能となった。交付内定を受けた科研費が実際に交付(送金)されるのは6月下旬ころであるが、交付内定日(多くの科研費種目では4月1日)以降は、所属機関へ申請することにより立替払い等により予算執行が可能である。また「単年度ごとに決算を行い、最後の1円まで使わなければならない」と誤解している大学関係者がいるが、実際には、当初予定した研究を完了した上で生じた残額は、日本学術振興会に返還することができ、それにより研究者や所属機関が不利益をうけることはない。全額使い切るために経理上の不適切な会計的処理がされ問題視されることがあり、年度末に予算消化として不要な消耗品を購入したり、4月から7月頃に利用する消耗品などの購入のためにモノが納品されていないうちに伝票を業者からもらい先にプールしたといった例がある。 河野太郎議員が2016年11月に申請書類の様式がデータとして役立たない「神エクセル」斗よばれるExcel方眼紙となっていることが問題視し、文部科学省に全廃命令をしている。 選定基準・文系研究支給批判 他の研究助成にも言えることであるが、採択の審査及び事後評価は、専門分野の知識を要するが故に同業者が担当することが多く、公平性が保たれているかは疑問の余地がある。平成25年(2013年)に日本学術振興会は審査委員に「利害関係登録」を義務づけるなど、審査の公平性を高めるための取組が行われていると述べている。 国公私立大学の特色ある発展という名の下に行われてきた、より魅力的な研究計画を出すところ、より実績があるところに多く資金を配分するようになった研究費の傾斜配分により、研究費の多い大学に更に多くの研究費が配分され、研究費の大学間格差が拡大している。 経済学者の池田信夫は自身も文系の研究者として科研費の恩恵を貰った経験から、文系の研究者がかかる国際会議と海外出張には、所属する大学が経費で支払ってくれるため、「はっきりいって文系に科研費なんか必要ない。」と述べている。文系への科研費がポスドクの雇用対策の人件費となっているため、、理系のようにハードウェアに実費がかかる「科学研究」とは異なるとし、「文系への科研費」廃止論を述べている。更には4億円の科研費をチームで貰い、期末に科研費の使い道がないのでメンバー全員の自宅のPCを買い換えて、請求書は全て大学宛てだったと述べている。別の大学でチームで2年2億円の科研費を貰った際も期末に使い道に困り、メンバー全員が韓国旅行費用としたことを明かしている。 2014~2018年に日本国の科学研究費補助金(科研費)で計1755万円の助成を受けて慰安婦問題共同研究を行った女性教授らが、「強制連行が事実に基づかない」「税金が原資の科研費が支出されることは相当ではない」という趣旨の意見表明した杉田水脈議員を名誉毀損で計1100万円の慰謝料とツイート削除を求める提訴をした。2022年5月25日に、「双方が相手に批判的意見を述べる応酬の中での投稿」で違法性は認められないと指摘し、請求は棄却となり原告らは敗訴した。
※この「不正・問題点・助成対象選定への批判」の解説は、「科学研究費助成事業」の解説の一部です。
「不正・問題点・助成対象選定への批判」を含む「科学研究費助成事業」の記事については、「科学研究費助成事業」の概要を参照ください。
- 不正・問題点・助成対象選定への批判のページへのリンク