一般最低賃金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:27 UTC 版)
「最低賃金 (ドイツ)」の記事における「一般最低賃金」の解説
最低賃金額の決定は、常設の最低賃金委員会が2年ごとに最低賃金額の適切性について決議を行う( 一般的最低賃金法第9条第1項 )(審議は非公開[ 一般的最低賃金法第10条第4項])。 決議は単純過半数の賛成により行われる(一般的最低賃金法第10条第2項)。 賛成が過半数に至らない場合、委員長が斡旋の提案を行い、なお賛成が過半数に至らない場合は、委員長が議決権を行使する)。 連邦政府は法規命令により最低賃金委員会により提案された適切な最低賃金を規定する。(一般的最低賃金法第11条第1項 ) 最低賃金委員会:議長1名、常任委員6名(労使各3名ずつ)、諮問委員2名(学術分野からの委員[労使提案]、議決権なし)で構成される。( 一般的最低賃金法第4条第2項 ) 常任委員と諮問委員は、各々グループ毎に必ず1名以上の男性及び女性を含めなければならない。そのため、2020年時点の最低賃金委員会の男女構成は、9人のうち3名が女性となっている。 決定基準(一般的最低賃金法第9条第2項) 最低賃金委員会は、労働者にとって必要な最低限度の保護に寄与し、公正かつ機能的な競争条件を可能とすること 雇用を悪化させないために、いかなる額の最低賃金が適切かを、総合的に勘案して審査を行うこと 最低賃金委員会は、最低賃金の決定に際し、労働協約上の動向に従うこと しかし、実際にはそれぞれの労働協約による賃金上昇率を国全体で平均化させた賃金上昇率を最低賃金引き上げ率として、事実上決定されている。その理由は、最低賃金委員会は2016年6月28日の決議書で、「調整額を勧告するための基礎として、協約賃金の動向は重要である。何故なら、労働協約当事者(労使)は、協約締結時に労働者の利益や企業競争力の維持、さらに雇用確保なども含む、包括的な判断をするからである」と説明しているからである。また、結果として協約当事者による賃金の決定が最低賃金の改定に反映される形になっているとも言える。そのため、最低賃金委員会開催前に、連邦統計局により、開催前までの労使交渉で決定した労働協約賃金全体の引き上げ率を提示している。 一方で、この決め方に対して、最低賃金委員会の形骸化を指摘する声もある。 最低賃金は以下のように改定されていった。 2017年:時給8. 84ユーロ(引き上げ率4. 0%) 2017年の最低賃金額決定の際、最低賃金導入(2015年1月1日)後から検討時までに締結された労働協約ごとの平均賃金上昇率のデータから、連邦統計局によって最低賃金引き上げ率を算出した。 当初は時給8. 77ユーロ(引き上げ率3. 2%)という改定額が提示された。しかし、その後、2016年4月末に妥結した統一サービス産業労組(Ver.di)の公務分野の協約賃上げ率(4. 75%)も算入し、上記の最低賃金額となった。 2019年: 時給9.19ユーロ、2020年:時給9.35ユーロ 最低賃金委員会は2018年6月26日、最低賃金(時給)を、現在の8.84ユーロから二段階で引き上げるよう政府に勧告した。 今回の改定でも、過去2年の協約賃金全体の動向を踏まえて、9.19ユーロへの引き上げ勧告が想定されていたところ、2018年前半に妥結した金属産業等の協約賃金も最終的に考慮され、9.35ユーロまでの二段階の引き上げ勧告になった。 2020年:2021年1月1日に9.50ユーロ、同年7月1日に9.60ユーロ、2022年1月1日に9.82ユーロ、同年7月1日に10.45ユーロ 2021年の最低賃金額を連邦統計居により、時給9.82ユーロにすべきと示唆された。しかしながら新型コロナウイルス流行の影響を鑑み、2021年は小幅な引き上げに留めておき、2022年にその金額に引き上ることとした。それと同時に、その年の7月に新型コロナウイルスの影響が去ったことによる景気回復を見据えて、大幅に引き上げる形とした。
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