マクラーレンの産業スパイ疑惑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 03:11 UTC 版)
「マクラーレン」の記事における「マクラーレンの産業スパイ疑惑」の解説
2007年7月、フェラーリの元チーフメカニックであるナイジェル・ステップニーがチームから技術に関する秘密情報を持ち出し、マクラーレンのマシンデザイン部門を統括するマイク・コフランに提供したとされる疑惑である。 フェラーリはイタリアとイギリスに告発し、両国当局が捜査を進めていた。その中で家宅捜索に入ったマクラーレン関係者の自宅から、780ページ分に及ぶフェラーリの機密情報が記録されたディスクが発見されたことなどで徐々に表面化、FIAも独自に調査を開始した。 7月12日 - FIAはフェラーリの機密情報が何者かに持ち出され、マクラーレン側に極秘に提供されたとする事実を告発した。マクラーレン側は疑惑の関与を否定した。 7月26日 - 世界モータースポーツ評議会 (WMSC) に公聴会が開かれた後、評議が行われ、国際競技コードの第151c条に違反しているが機密情報が使用された証拠がないため、証拠不十分としてマクラーレンに対するペナルティは課されないことが決まった。 9月5日 - FIAは166ページに及ぶ疑惑に関する新たな証拠を提出、WMSCが関係者を招集し公聴会の開催を決定する。 9月13日 - WMSCが公聴会を開き、その後再審理を行われた結果、以下の処分がFIAから発表された。2007年のコンストラクターズポイント剥奪、今シーズンの残りのレースもポイントを獲得できない。 ポイント剥奪によって失われる収支を含め、1億ドル(約114億円)相当の罰金を課す。 チームのドライバーに対しては証拠提出の見返りとしてペナルティを科さない(フェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンの二人のドライバーズポイントはそのまま保持。残りのレースで獲得したポイントも通常通り加算される)。 WMSCは、2008年のマクラーレンの車体に関する技術レポートを受け取り、2007年12月の会議の中でチームの2008年シーズンに関する制裁措置を行うかを決定する(マクラーレンは次シーズンの車体にフェラーリが使用している技術を一切使用していないことを証明しなければならない)。最悪の場合、1シーズン出場停止になる可能性もある。 10月24日 - マクラーレンが受け取るはずだった賞金やテレビ分配金が1億ドルから差し引かれ、罰金額が「5000万ドル(約75億円)以上」に減額された。 12月7日 - WMSCは、FIA技術部門にマクラーレンの2008年マシンにフェラーリの機密情報が組み込まれていないかどうかを調査させ、詳細な報告書を提出させた。これにより、マクラーレンの新マシンの合法性に関する裁定が下される予定であったが、WMSCは2008年2月14日に開催されるWMSCの臨時総会において、マクラーレンやフェラーリをはじめ、他のチームにも、報告書に対する意見を発表するチャンスを与えるべきであると判断した。 12月13日 - マクラーレンCEO・マーティン・ウィットマーシュはマクラーレンの2008年マシン(MP4-23)にフェラーリの機密情報が含まれる予定だったことを認め、それを謝罪し、2008年マシンの一部開発凍結の話し合いをする内容の書簡をWMSCとマックス・モズレー宛てに送った。 12月18日 - WMSCはFIA会長マックス・モズレーの提案をうけ2008年2月14日に予定されていた公聴会を中止することで同意した。
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