ピアノ協奏曲 第24番とは? わかりやすく解説

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モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調

英語表記/番号出版情報
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調Konzert für Klavier und Orchester Nr.24 c-Moll K.491作曲年1786年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 Mov.1 Allegro1300 No Image
2 第2楽章 Mov.2 Larghetto7分30秒 No Image
3 第3楽章 Mov.3 Allegretto8分30秒 No Image

作品解説

2007年10月 執筆者: 稲田 小絵子

モーツァルトピアノ協奏曲中、第20番ニ短調と並ぶふたつきりの短調作品である。どちらもこのジャンル付随する社交的な雰囲気裏切っているが、第24番は、より激し一面をもつ。オーボエに代わってクラリネット導入された前2作とは異なり、第24番はその両方併用することによって、より幅広い音響手に入れているのであるピアノ幅広い音域主題を彩っている。それは技巧的ではあるが、単なる音の羅列では決してなく作品要求応えた動きをしており、管弦楽との調和が見事である。
作品1786年3月24日完成し4月7日予約演奏会初演された。自筆譜では、ピアノ声部何度も書き直されており、おそらく演奏直前加えたであろう即興的なパッセージ見られる。もしかするとモーツァルト本人による初演では、楽譜書かれた以上の音が響いたかもしれない
第1楽章作曲家自身によるカデンツァ残されていない

第1楽章アレグロハ短調3/4拍子協奏ソナタ形式冒頭の弦とファゴットユニゾン減七音や半音多用した異様な緊張感をもって始まるのに対し独奏ピアノ主題はむしろ哀調帯びている。楽章通してピアノはこうした性格を受け持つが、一方で管弦楽背景として華麗なパッセージ展開することも多い。
第2楽章:[ラルゲット]、変ホ長調2/2拍子ロンド形式穏やかなアリアのような主題の間に、やや緊張感のあるエピソード2つ挟まる。そこでは、木管充実した響きピアノ(および弦)と対話している。
第3楽章:[アレグレット]、ハ短調2/2拍子変奏形式主題8つ変奏から成る。この楽章ではピアノシンフォニック響き有する


ピアノ協奏曲第24番 (モーツァルト)

(ピアノ協奏曲 第24番 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/12 15:56 UTC 版)

ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K. 491 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト1786年に作曲したピアノ協奏曲。モーツァルトのピアノ協奏曲の中で、短調の作品は本作と『第20番 ニ短調』(K. 466)だけである。

概要

ピアノ協奏曲第24番の初演が行われたウィーンのブルグ劇場
音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
Mozart's Piano Concerto No.24 - マーティン・ジェームズ・バートレット(P)、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズによる演奏。ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ公式YouTube。

モーツァルト自身が記した作品目録によれば、本作は1786年3月24日ウィーンで作曲され、初演は同年4月7日、ウィーンのブルグ劇場で開かれたモーツァルト自身の予約音楽会で行われた。翌月の5月1日にはオペラフィガロの結婚』(K. 492)が初演されている。

暗く情熱的な作品であり、ニ短調のピアノ協奏曲とは違い、唯一短調で始まり短調で終わる構成となっている。アルフレート・アインシュタインによれば、ベートーヴェンはモーツァルトの曲に感嘆し、自分の曲の中で「2、3の貢物を捧げている」と述べている[1]

モーツァルトの弟子であるヨハン・ネポムク・フンメルは本作のカデンツァを作曲しただけでなく、ピアノ・フルートヴァイオリンチェロ用の編曲を残しており、白神典子らが録音している。

楽器編成

独奏ピアノフルートオーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ弦五部

モーツァルトのピアノ協奏曲の中では最大の編成である。オーボエとクラリネットの両方を採用しており、木管楽器が活躍する場面の多い曲になっている。第2、第3楽章の一部には、これら管楽器だけによる、ハルモニームジークの書法を用いた部分もある。

曲の構成

全3楽章、演奏時間は約30分。第1楽章のカデンツァや第2、第3楽章のアインガングは、モーツァルト自身のものは残されていない。そのほかにもピアノのパートを完成させていない部分がいくつかある。これらは、モーツァルト自身が演奏会で即興演奏した部分と思われる。現在では、特に表記されていない場合はもっぱらフンメルが作曲したカデンツァで演奏されることが多い。

  • 第1楽章 アレグロ
    ハ短調、4分の3拍子ソナタ形式
    
\version "2.18.2"
\header {
  tagline = ##f
}

\score {
  \new Staff \with {

  }
<<
  \relative c' {
    \key c \minor
    \time 3/4  
    \tempo 4 = 135
    \override TupletBracket #'bracket-visibility = ##f 

     %%Mozart — Concerto 24, mvt 1, th. 1
     c2.( ees2.) aes2( g4) fis-! ees'-! r8. fis,16 aes4( g f) e-! des'-! r8. e,16 ges4( f ees) \break 
     d-! b'-! r8. d,16 ees4-! c'-! r8. ees,16 aes4 aes,4( a bes b c) f g g, c

  }
>>
  \layout {
     \context { \Score \remove "Metronome_mark_engraver" }
  }
  \midi {}
}
    第1主題の中の跳躍する音型は第1楽章の中で何度も繰り返される。第2提示部で第1主題が繰り返される前に、ピアノが独自の主題を見せるのは、ニ短調の協奏曲と共通する。
    また、本作はモーツァルトのピアノ協奏曲としては珍しく、第1楽章が3拍子で書かれており、他に第1楽章が3拍子で書かれているのは本作を含めてたったの4曲(他は第4番第11番第14番であり、そのうち第4番は他者の作品の編曲であるため、オリジナル作品では3曲)しかない。
  • 第2楽章 ラルゲット
    変ホ長調、2分の2拍子(アラ・ブレーヴェ)、ロンド形式
    
\version "2.18.2"
\header {
  tagline = ##f
}

\score {
  \new Staff \with {

  }
<<
  \relative c'' {
    \key ees \major
    \time 2/2  
    \tempo 2 = 28
    \override TupletBracket #'bracket-visibility = ##f 

     %%Mozart — Concerto 24, mvt 2, th. 1
     bes4 bes8. bes16 bes8 ([ ees]) ees r8 g8 (d ees f) bes,2 g'4 g8. g16  bes8. ([ g16]) ees8 r8 d,8 d d d ees4

  }
>>
  \layout {
     \context { \Score \remove "Metronome_mark_engraver" }
  }
  \midi {}
}
    第1楽章と第3楽章とは対照的に、穏やかな優しい曲。木管とピアノの応答が美しい。
  • 第3楽章 アレグレット
    ハ短調、2分の2拍子(アラ・ブレーヴェ)、変奏曲形式
    
\version "2.18.2"
\header {
  tagline = ##f
}

\score {
  \new Staff \with {

  }
<<
  \relative c'' {
    \key c \minor
    \time 2/2  
    \tempo 2 = 72
    \override TupletBracket #'bracket-visibility = ##f 

     %%Mozart — Concerto 24, mvt 3, th. 1
     \partial 4 g4
     (ees) ees (d) d
     (c) r4 r4 g'
     (c) c (ees fis,)
     g r4 r4 g4
     (aes) aes-. (aes-. aes-.)
     \grace { aes32 (bes } c4) bes8 aes g4 g
     \grace { g32 (a } bes4) a!8 g g4 (fis) 
     g r r \bar ":|."

  }
>>
  \layout {
     \context { \Score \remove "Metronome_mark_engraver" }
  }
  \midi {}
}
    主題と8つの変奏からなる変奏曲。アルフレート・アインシュタインは「革命的なぶきみな急速行進曲」と呼んでいる。第4変奏と第6変奏では、第2楽章に似た木管とピアノの楽しい応答がある。最後には8分の6拍子に変わり、同主長調に転調して明るく終わるニ短調の協奏曲とは違い、悲劇的なハ短調のまま締めくくられる。

脚注

  1. ^ アインシュタイン(1961, pp. 422)

参考文献

  • アルフレート・アインシュタイン『モーツァルト-その人間と作品』 浅井真男訳、白水社、1961年。

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