ビッグマック指数とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ビジネス > マーケティング > 指数 > ビッグマック指数の意味・解説 

ビッグマック指数


ビッグマック‐しすう【ビッグマック指数】


ビッグマック指数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/10 15:35 UTC 版)

2022年11月のビッグマック指数[1]
指標となるビッグマック
$50でビッグマックが何個買えるか

ビッグマック指数(ビッグマックしすう、英語: Big Mac index)とは、各国の経済力を測るための指数[2]マクドナルドで販売されているビッグマック1個の価格を比較することで得られる[2]

概要

イギリスの経済専門誌『エコノミスト』によって1986年9月に考案されて以来、同誌で毎年報告されている。

ビッグマックはほぼ全世界でほぼ同一品質(実際には各国で多少異なる)のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすかった。これが基準となった主な理由とされる。

具体的には、たとえば日本でビッグマックが250円、アメリカで2ドルのときは、250/2=125となり、1ドル=125円 がビッグマック指数となる。もしこの時点で、為替レートが1ドル110円だとすると、為替相場はビッグマック指数に比べて円高であり、この後、125円に向けて円安が進むだろう、などと推理する。

各都市で、1個のビッグマックを購入するのに必要な労働時間を算出することにより、各都市の物価に比した賃金水準を推計出来る。[3]

アフリカにレストランが少ないことを示す、少なくとも 1 軒のマクドナルド レストランがある国の地図 (2022 年)

比較における問題

実際のビッグマック(及び他のすべてのハンバーガー)は世界各地で異なった重量、栄養価、サイズで提供されている。例えばオーストラリアのビッグマックはカナダ版に比べカロリーが22%少なく、メキシコ版に比べ重量が8%軽くなっている[4]。また、ビッグマック=高級品という感覚の地域もある。ベトナムでは、屋台のサンドイッチ(バインミー)に比べて4倍程度となっている。

この比較では「指数」という言葉を使うが、本来の意味の指数(無単位)ではなく、単位は通貨単位である。そのため通貨単位の異なる地域のビッグマック指数を比較しても無意味であり、ビッグマック指数(≒実効レート)が意味を持つのは、単一の国および地域においてのことである。ある地域において、「現在の為替レートと比べて実効レートがどのくらいあるか」という比較でのみ、意味を持つ。そのため、A国のビッグマックをドルや円に換算した値段とB国のそれとを列挙して、為替の評価ではなく、経済力や物価などを比較するのは誤りである。[3]

また、この数字には、消費税(付加価値税)が含まれているので、各地域で比較する場合には、その分を差し引いて計算しなければならない。

さらにはビッグマック指数は、物価感覚の比較の簡便で実用的方法ではあるが、1品目では厳密な比較ができない。例えばビッグマックの価格と最低賃金を用いて計算した場合、ビッグマック1つ分の金銭を得るのに必要な労働時間が世界で最も短いのは、香港である(2018年)。また、ファストフード店が激しい価格競争に晒されているかそうでないか、原材料の牛肉小麦に対する補助金制度といった各地域独自の特殊な事情が絡む。またより精確な指標とするには同国内でも時代ごとに異なる一つ当たりの価格からグラム換算、炭水化物:油脂比率を含めたカロリー換算、たんぱく質など栄養価換算も考慮して計算しなければならなくなる。

隣国でありかつ共に石油大国でありながら、サウジアラビアクウェートのビッグマックの値段はサウジアラビアが約70円強なのに対してクウェートでは約800円弱と10倍以上の開きが生じている。これは、サウジアラビアのマクドナルドが国の補助金を受けており極端に安いのに対して、材料のほとんど全てを輸入に頼っていて食料品価格の平均が高いクウェートでは高くなるためで、先進国以外では経済指標として機能しない。

また、金融危機の影響でマクドナルドが全店撤退してしまったアイスランドなど、測定そのものが不能となっている地域も存在する。

1個のビッグマックを購入するのに必要な労働時間のトップ10都市は以下の通りである(2018年4月現在)。

2013年現在、エコノミスト誌はビッグマック指数のほか、トール・ラテ指数(スターバックス指数、2004年から)やコカ・コーラマップなどの指数も発表している。円についてはトール・ラテ指数の場合、ビッグマック指数とは逆に、さらに円安の余地があることになり、ビッグマック指数とは結果が大きく異なっている[5][6]オーストラリア・コモンウェルス銀行の株式仲買部門であるコモンウェルス証券(CommSec)は、iPod指数を提唱(2007年)している。

脚注

  1. ^ Pelkey, Matt (2023年3月14日). “The Price of McDonald's Around the World and America” (英語). CashNetUSA Blog. 2024年2月15日閲覧。
  2. ^ a b 高橋洋一『高橋教授の経済超入門』アスペクト、2011年、43頁。
  3. ^ a b ビッグマック指数とは? 独特な経済指標で見た日本の物価水準と課題 日経ビジネス、2023年2月。
  4. ^ Big Mac? Not really, as Australian version of burger downsized”. The Advertiser (Adelaide) (2009年6月13日). 2009年6月18日閲覧。
  5. ^ The Starbucks index: Burgers or beans?The Economist 2004年1月15日
  6. ^ 円は割高か割安か、「バーガノミクス」という指標で探りました。FNNニュース 2013年2月19日

関連項目

外部リンク


ビッグマック指数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 15:34 UTC 版)

購買力平価説」の記事における「ビッグマック指数」の解説

詳細は「ビッグマック指数」を参照 購買力平価一つマクドナルド販売しているビッグマック価格各国購買力比較し算出した購買力平価のこと。イギリスの経済誌『エコノミストThe Economist)』が発表したものが起源となっている。 ビッグマックによる購買力平価日本でのビッグマック価格(円)÷海外でのビッグマック価格現地通貨物価感覚の比較簡便実用的方法ではあるが、次のような理由で、限界もある。 たった1品目では厳密な比較できない例えビッグマック1つ分のお金を稼ぐのに必要な労働時間世界一短いのは、比較物価が高いはずの日本である。これは、ファストフード店激し価格競争晒されているかそうでないか、といった各国独自の特殊な事情が絡むからである。 牛肉などの価格は、その国の農業政策による補助金などが影響するが、その分考慮されていない間接税消費税)の分は考慮されていない。したがって消費税高率である国(北欧)では、価格その分だけ高くなるが、それについての補正はされていない。 そして、エコノミストによる2019年7月時点のビッグマック指数 を見ると、ビッグマック価格の高い上位10カ国の内3カ国が間接税高率である北欧であったまた、価格が5米ドル上の国は、高い順にスイス(6.54米ドル)・アメリカ(5.74米ドル)・スウェーデン(5.38米ドル)、カナダ(5.16米ドル)の4カ国であった。なお日本価格は、3.59ドルであり日本円で390円であったエコノミストはビッグマック指数のほか、トール・ラテ指数スターバックス指数)などの指数発表している。 エコノミストとは異なサイトfinder」が発表した2019年9月時点トール・ラテ指数場合アメリカニューヨーク)は4.30米ドル日本東京)は3.79米ドルであったまた、この場合の円については、2019年9月時点スターバックスのトール・ラテは380円である為、ニューヨーク消費税8.875%を考慮して計算する380÷(4.30÷1.08875)≒96.22(円)となり、ビッグマック指数と同様に円高となる。但し消費税有無がある為、単純比較できないが、ビッグマック指数と比べて28円の円安であり、ビッグマック指数とは結果大きく異なっている。

※この「ビッグマック指数」の解説は、「購買力平価説」の解説の一部です。
「ビッグマック指数」を含む「購買力平価説」の記事については、「購買力平価説」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ビッグマック指数」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ビッグマック指数」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



ビッグマック指数と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ビッグマック指数」の関連用語

ビッグマック指数のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ビッグマック指数のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2025 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
マネーパートナーズマネーパートナーズ
Copyright © 2025MONEY PARTNERS CO,LTD All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのビッグマック指数 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの購買力平価説 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS