バニャムレンゲの語源・起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/02 01:26 UTC 版)
「バニャムレンゲ」の記事における「バニャムレンゲの語源・起源」の解説
バニャムレンゲとは、「ムレンゲの人たち」という意味である。(ムレンゲは後述するように土地の名前で、ウヴィラの西側の高原地帯にある。)牧畜で暮らしており、ルワンダ語を話す。同じツチ系住民であっても、後述する1964年の暴動を支持したバニャルワンダと自分たちは違うということを政治的に主張するために自ら「バニャムレンゲ」を名乗るようになった。同時に、自分たちが外国人ではないと主張する目的もあった。現在のコンゴ東部にある南キブ州に住む小集団で、一般的にはコンゴが植民地化される前にやってきたと考えられている。ただ、その時期についてははっきりしておらず文献によって異なる。19世紀あるいは1880年代と書くものもあれば、17世紀、あるいは18世紀から19世紀と書くものもある。一方で、バニャムレンゲがコンゴにやってきたのは、コンゴが植民地化された後のことであるという主張の研究もある。南キブ州にやってきたのは、19世紀の終わりころのことである。最初は、フレロ族支配地域(Chefferie des Bafulero)のレメラ(Lemera)周辺に住み着いたが、その後更に西の高地へ進み、1881年から1884年にはヴィラ族支配地域(Chefferie des Bavira)のガリエ(Galye)にたどり着いたものもいた。この年(コンゴが植民地化された1885年以前であるという点)とたどり着いた場所は、後年政治問題化した、バニャムレンゲがコンゴ国民として法律で認められるかどうかに関係しており重要である。第一次コンゴ戦争が勃発する以前は、ブカヴから南に離れた高地に定住していた。 バニャムレンゲの起源については、ルワンダに住んでいた者が移住した家系もあれば、ブルンジが起源であるとするものもあり、一定ではない。ルワンダが起源の家系の説明では、ルワンダのムワミ、ルワブギリ(Rwabugiri、1853-1895)の虐待から逃れるために19世紀後半になってルワンダを脱出したというものや、それ以前のムワミによる弾圧から逃れてきた、あるいは1896年のルクンシュ(Rucunshu)・クーデター後の抑圧を逃れてやってきたという。(1895年にルワブギリが死去した後、王位をめぐる政争が内戦に発展し長期化した。これは、ルワンダやブルンジでは公には王が後継者を指名しないことが伝統になっていたことが原因である。2つの家系、アベエガ(Abeega)家とアバニギニャ(Abanyiginya)家の間で内戦が展開され、1896年にアベエガ家がクーデターに勝利した。このクーデターでアバニギニャ家や、親アバニギニャ家の者が多数虐殺され、難民となって北部や東部へ逃げ出していった。ルクンシュという名は、ルワブギリが埋葬された場所にちなんでいる。)バニャムレンゲの大部分はルワンダ起源のようだが、一部にはブルンジ起源の者もいて、その他にも、シ族(Bashi)が起源の者やコンゴ自由国時代の「テテラ族(Batetela)の反乱」で奴隷となった者が起源の者もいた。 いずれにしても、バニャムレンゲの数は少なく、大部分はツチ族、一部はフツ族だったが、このフツもやがてツチへ変わっていったため、グループ内の社会的緊張は消えていった。なお、1959年、1964年、1973年にはルワンダ人難民がバニャムレンゲの共同体に流入している。 植民地時代の資料や口伝から言えることは、バニャムレンゲは、現在のウヴィラ(Uvira)地域に住んでいたフレロ族Fulero(フリロ(Fuliro)、あるいはフリイル(Furiiru)と言われることもある)のムワミの支配下にあったということである。 フレロのムワミはルワンダ人に土地を貸し、その代わりにムワミに家畜を貢物として献上することで当初、両者の関係は良好だった。こうして、ルワンダ人は標高1,800メートルにあるムレンゲと呼ばれる土地に定住するようになった。ムレンゲはこれらルワンダ人にとって事実上の首都のようになり、低地に住むフレロはこのルワンダ人をバニャムレンゲと呼ぶようになった。これがバニャムレンゲという名のそもそもの由来である。 しかし、1924年ころにフレロのムワミ、モコガブウェ(Mokogabwe)が見返りとなる家畜の数を増やしたため両者の関係は悪化した。1970年代にバニャムレンゲを調査したJ.デペルシン(J.Depelchin)によれば、この時以来、バニャムレンゲはフレロを信用できない部族だと考えるようになったようだという。
※この「バニャムレンゲの語源・起源」の解説は、「バニャムレンゲ」の解説の一部です。
「バニャムレンゲの語源・起源」を含む「バニャムレンゲ」の記事については、「バニャムレンゲ」の概要を参照ください。
- バニャムレンゲの語源・起源のページへのリンク