ハングルの特徴とキー配列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 03:42 UTC 版)
「ハングルタイプライター」の記事における「ハングルの特徴とキー配列」の解説
詳細は「ハングルのキー配列(朝鮮語版) 」を参照 ハングルは、字母と呼ばれる構成要素の組み合わせによって表現される文字である。ハングルタイプライターのキーは字母に対応している。ハングルの字母には母音字母と子音字母の2種類があり、ひとつの音節の初声・中声・終声に従って組み合わされる(ハングルの字母の組み合わせ参照)。初声(子音)と中声(母音)は左右に組み合わされることもあれば上下に組み合わされることもあり、また終声(パッチム)は付くことも付かないこともある。印刷活字のようにハングルを矩形に収めることを規範とするならば、タイプライターは組み合わせによって異なってくる字母の配置やデザインに対応する必要があり、相応に複雑化する。 なお、字母の組み合わせを考えないならば、ハングルタイプライターは欧文タイプライターと同程度に単純化することが可能である。20世紀前半、言語近代化の過程で、言語学者周時経や崔鉉培(朝鮮語版)らはハングルの表記方法としてプロスギ(풀어쓰기。日本語では「分解横書き」とも意訳される)を提案した。たとえば「한글」を「ㅎㅏㄴㄱㅡㄹ」と表記する方法である。プロスギの採用はタイプライターの規格にとどまらず言語表記・文字そのもののありかたに関わる問題となる。 このような特徴のあるハングルの印字を実現する入力装置について、以下のようないくつかの方式があった。なお、「ボル」(벌)は、「組」や「揃い」(英語でいうところの「セット」)を意味する朝鮮語固有語である。 2ボル式(2벌식/두벌식) 「母音字母」「子音字母」の2つにグループに分けてキーを配置したもの。キーが少ないため配列が覚えやすい利点があるが、同じ子音字母の活字を初声と終声で用いるために、3ボル式と比較した際にデザイン的には難があるとされる。1970年代にはハングルテレタイプ用のキーボード配列に用いられ、1983年の「標準キーボード」に採用された。 3ボル式(朝鮮語版)(3벌식/세벌식) 字母を「初声」「中声」「終声」の3つにグループに分け、キーを配置したもの。初声で用いる子音字母と終声で用いる子音字母を別のキーに割り当てており、書体もそれぞれ別にデザインしている。公炳禹式はこの方式の一種であり、金東勲式(5ボル式)に比べると打鍵速度に優れているとされる。 「ハングル機械化の父」(한글기계화의 아버지) とも呼ばれる公炳禹(1907年 - 1995年)は、1949年にタイプライター用のキー配列を最初に発表した後も改良を重ね、1990年代のコンピューターの時代まで活動した。 4ボル式(4벌식/네벌식) 字母を4つのグループに分けて処理するもの。1983年の「標準キーボード」は、「初声」「終声のない中声」「終声のある中声」「終声」の4つにグループ分けした。 5ボル式(5벌식/다섯벌식) 初声と中声の組み合わせ方や終声のあるなしによって、5つのグループに分けたもの。 1959年に初めて発売され金東勲式はこの方式の一種で、初声2組(辺子音14字母と冠子音14字母)・中声2組(終声が続く母音13字母と終声が続かない母音13字母)・終声1組(16字母)を組み合わせていた。金東勲式は公炳禹式(3ボル式)に比べるとハングルの字形が整っているとされる。 4ボル式や5ボル式は、組み合わせたハングルが矩形に収まるように設計されており、また字体が別個にデザインされているため、他の方式に比べて視覚的に美しいとされた。3ボル式で印字されたハングルは矩形に収まらずでこぼこした形状になるが、可読性(認識速度)はかえってすぐれているという見解もある。
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