ネットワークにおける匿名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 04:13 UTC 版)
インターネットが一般に普及する以前に盛んであったパソコン通信においては、通常、各個人に対して一つのIDが発行されていた。この環境では、IDをもちいずに書き込みなどの活動をすることは困難であった。また、通常書き込み者のIDも他者にわかるようになっていた。 そのような流れから、パソコン通信に参加していた者の間ではインターネット上でもハンドルのもとで自身の発言・行為に責任を負うのがネチケットとされることがあった。しかしながら、一般人の間にもインターネットの利用が普及するにつれ、パソコン通信の経験のない者が増え、日本では例えば巨大匿名掲示板・「2ちゃんねる」(後の「5ちゃんねる」)の台頭もあって、自身固有のハンドル名を使わずに活動する匿名行動が広く見られる。 基本的にインターネットで発言や行動をした場合、技術面で本格的に追及すれば接続しているユーザのIPアドレスなどはほぼ判明してしまうが、特定のサーバに対し多大な負担を掛けてダウンさせるなどといった極端な荒らし行為や、特定の人物への殺害予告などの犯罪をおこなう可能性を匂わせる発言、また自らの犯罪行為・体験について赤裸々に語るなどといった犯罪に関わるような発言をしない限りは、他のユーザから追及を受ける・正体をあばかれるという危険性は基本的に少ない。そのため一般的に、インターネットでは自分の正体を明かさぬままに発言や行動ができるものだと思われており[要出典]、それがチャットや電子掲示板で他人への誹謗中傷を繰り返す者の発生を招くなどの犯罪の温床を作り出している、という意見もある。なお、犯罪予告に関しては2011年2月に、新宿駅前にて通り魔殺人を起こす、との匿名による殺害予告に対し、警察が翌日には犯人を特定して逮捕した事例[出典無効]など、匿名によるインターネット上での秘匿性は限られたものになってきている。 匿名での発言は「自身の行為に責任を負う意志のないこと」を表しているとして、匿名あるいは実質上匿名であるハンドル(「名無しさん」「通行人」「通りすがり」のたぐい、または「あああ」などその場限りの捨てハンドル)の使用を、明確に禁じるコミュニティもある。また、ソーシャル・ネットワーキング・サービスというかたちで、既存の参加者が信頼できる人物のみ新規の参加を認める[要出典]かたちで、責任ある発言を維持しようとするコミュニティも出現している。 また逆に、2ちゃんねるや4chanなどの掲示板群では「特別の理由が無い限りはユーザは匿名で書き込む事が基本」となっており、発言の内容に一貫性を持たせる必要が出てきた場合は、その発言者が(トリップなど、他者から識別できることが担保できる形での)ハンドルを名乗る例がある。
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