ニュージャージー州への延伸計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 05:39 UTC 版)
「ニューヨーク市地下鉄7系統延伸事業」の記事における「ニュージャージー州への延伸計画」の解説
1993年に MTA がハドソン川を越えて7系統を延伸する検討を始めてから17年後の2010年には、ニューヨーク・タイムズがマイケル・ブルームバーグ市長がマンハッタン島対岸のニュージャージー州 ホーボーケン駅や、ニュージャージー・トランジットのハブ駅であるセカーカス・ジャンクション駅への延伸が検討されていたと報道した。これにより、ニュージャージー州に住む利用者にとってマンハッタン・イーストサイドにあるグランド・セントラル駅に直行できるルートができ、さらにニューヨーク市地下鉄の他の路線への乗り換えも容易になると考えられた。 もし開業すれば、州境(ニューヨーク州 - ニュージャージ州)を超える初めてのニューヨーク市地下鉄路線になる。このプランはクリス・クリスティ ニュージャージー州知事が2010年10月に中止したARC(Access to the Region's Core)トンネルの代わりとなるものだった。 2011年2月2日に、ニューヨーク市経済開発公社(英語版)は地下鉄延伸用トンネルのフィジビリティスタディに上限25万ドルの予算を付けた。フィジビリティスタディは技術コンサル会社のパーソンズ・ブリンカーホフ(英語版)が担当した。報告書は2013年4月に発表され、ARCトンネルの予定経路にトンネルを建設すること、セカーカス・ジャンクション駅までのマルチモーダル輸送(英語版)を確保すること、10番街駅(英語版)を建設することなどが提案されており、北東回廊の拡張も考慮されていた。 ニューヨーク・ポストはユニオンシティとセカーカスへのフラッシング線の延伸について、2012年末にブルームバーグ市長が公式に提案すると報道した。クリス・クリスティ ニュージャージー州知事とポート・オーソリティは、計画が正式に承認されれば推計100億ドルの建設費の一部を負担して支持すると述べたという。 この計画は、11番街に新駅を設置して西進するルートを採ることで、費用の嵩むヘラルド・スクエア東側へのトンネル掘削工事や大深度地下への複合駅設置を避けることができ、ARCトンネルよりも安上がりであった。しかし、セカーカスでニュージャージー・トランジットからニューヨーク市地下鉄への乗り換えが必要となることから、ARCの原案よりもマンハッタンへの所要時間は長くなる可能性があった。さらに、ニュージャージー・トランジットは延伸後も始終点を引き続きペンシルベニア駅とする予定で、ニュージャージー州とニューヨーク州を結ぶトンネルを短く済ませるという目標は達成できそうになかった。一方でクリスティ知事は「私たちが常に望んできたように、この計画は我々をマンハッタンの東側と結びつけるものだ」とも述べている。ブルームバーグ市長はニューヨーク州知事に選出されたアンドリュー・クオモにこのプロジェクトをお披露目していなかった。これは、このプロジェクトがさらに5年の歳月を要することから、ARCトンネルに交付される予定だった連邦政府からの補助金が自動的にこのプロジェクトに割り当てられない可能性があったからであった。 アムトラックが2011年2月に発表したゲートウェイ・プロジェクト(英語版)では7系統をセカーカスまで西に5マイル延伸する代わりに、11番街から3ブロック東のニューヨーク・ペン駅まで延伸することになっていた。ゲートウェイ・プロジェクトはアムトラックの後押しでニューアーク・ペン駅からニューヨーク・ペン駅までの高速鉄道を敷設し、ニュージャージー・トランジット・レイル・オペレーションズ(英語版)の輸送力を増強するものであった。 連邦議会は2011年11月にプロジェクトの研究資金として1500万ドルを割り当てていたが、ゲートウェイ・プロジェクトと地下鉄延伸は資金調達においては競合関係にあった。 2012年4月の予算審議において、MTAディレクターのジョー・ロータ(英語版)は、延伸線が予見可能な将来に建設されるというのは疑問であり、ゲートウェイ・プロジェクトはハドソン川の渡河に関わる渋滞についてより有効な解決策であることを示唆している、と述べた。しかし、2013年4月に発表されたニューヨーク市の委託によるフィジビリティスタディの結果は延伸計画の復活に望みを繋ぐものであり、ブルームバーグ市長も「セカーカスへの7系統の延伸は潜在的に有望なソリューションで、真剣に検討する価値がある」と述べた。 2013年11月4日のニューヨーク・デイリーニューズの意見欄では、ニューヨーク不動産業協会(英語版)とエジソン・プロパティーズ(英語版)の会長がトンネルをゲートウェイ・プロジェクトと共用する形で地下鉄をセカーカスまで延伸することを求め、同月のニュージャージー州議会下院では7系統のホーボーケンおよびセカーカスへの延伸を支持する決議168号が可決された。
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