168号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 04:25 UTC 版)
「長崎電気軌道160形電車」の記事における「168号」の解説
162号の代わりとして動態保存車となった168号は、1978年の整備の際に塗装が緑一色に塗り替えられたものの、車齢70年を超え老朽化が目立っていた。長崎電気軌道の開業70周年を翌年に控えた1984年(昭和59年)、同社では168号を今後も「貴重な動く明治の資料」として末永く保存すべく、同年9月から翌1985年(昭和60年)2月までの5か月間、浦上車庫にて重要部検査及び全面改修工事を実施した。車体部分は外装の交換や歪み・ねじれの矯正、各部分への補強枠取付けなどが行われた一方で、内装は原型を極力保つべく、つり革のベルトをビニール製から皮革製に交換した以外は手を加えずそのままとした。屋根周りは雨漏りで傷みが激しかったことから、垂木や屋根板が指物細工の要領で全面的に交換され、屋根端部は新製時の段落ち屋根に復元された。塗装や装飾は新製時の九州電気軌道のものではなく、長崎電気軌道創業時の小豆色とし、側面窓下の唐草模様は真鍮で金具を取り付けることにより再現している。なお、改修時に直列(シリース)運転専用に改造されている。2011年(平成23年)5月には製造100周年を迎えた。 通常の営業運転からは退いたとはいえ、その現役稼働年数は100年を超えており、車籍を持つ稼働車としては日本最古の木造ボギー車である。また、現役稼働年数が100年を超えた車両としても日本唯一の存在である。長崎電気軌道の社史やプレスリリースなどでは明治電車、明治電車168号といった愛称で呼ばれており、主にイベントや貸切、団体臨時列車に用いられている。なお、6月10日(路面電車の日)、11月16日(開業記念日)ならびに10月14日(鉄道の日)近くの日曜日の年3回、営業運転が行われている。 昭和時代の姿を強く留めており、現在営業運転に使用されている他の車両とは以下の様な違いがある。 冷房装置が取り付けられていない。 集電装置はZパンタグラフではなくビューゲルを用いている(西鉄時代はトロリーポール→菱形パンタグラフであった)。 ドア開閉、方向幕の操作、集電装置の上下など、ほとんどの部分が運転手と車掌による手動操作となっており、ワンマン運転にも対応していない。 運転士と乗客の間に仕切りがなく、乗客が運転士のすぐ側を通って乗降を行う。 車掌と運転士が車両備え付けの「信鈴」(紐を引いて鳴らすアナログ式の信号ベル、いわゆるチンチンベル)でお互いに合図を行う昔ながらの方法で運行される。なお、現在の信鈴は復元整備時に東京都電のものが取り付けられている。 長崎スマートカードやnimocaには非対応で、機器を設置するスペースもないため、従来と同じ金属製運賃箱を引き続き使用している。
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