ジェズヴェ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/28 20:05 UTC 版)

ジェズヴェ(トルコ語: cezve)は、トルココーヒーを淹れるために特別に設計されたコーヒーポット。アラビア語ではإبريق(ラテン文字転写: ibrīq、イブリーク)と呼ばれる[1]。日本語ではアラビア語名を英語表記した名称からイブリック(英語: Ibrik)とも呼ばれる[2][3]。
特徴

トルココーヒーとは、水とコーヒーの粉を一緒に煮立て、上澄みを小さなカップに入れて飲むコーヒーの飲み方のことである。トルコ以外には中東や北アフリカなどで好まれている。 1555年に初めてコーヒーがオスマン帝国のイスタンブールに持ち込まれ[4]、16世紀に開店した「カヴェ・カーネス」は世界初のコーヒーハウスともいわれる[5][6]。17世紀までには帝国内の宮廷などで飲まれるようになった[4]。トルココーヒーは日本と同じようにアラビカ種の豆を用いるが、細かい粉状に挽かれる[4]。
伝統的にジェズヴェは胴と柄は真鍮や銅などの金属で作られており[3][7]、場合によっては銀製や金製のジェズヴェも存在する。近年ではステンレス鋼、アルミニウム、セラミックなどの素材でもジェズヴェが作られている。銅はとても効率的な熱伝導体であり、低温-中温程度の熱しか必要としない[8]。一般的な銅製ジェズヴェの厚さは1ミリメートルであるが、より厚ければ熱の保持や耐久性に優れる[8]。長い柄を有することで手が熱くならない[8]。口をつける縁はコーヒー用に設計されている。開口部が広すぎるとトルココーヒー特有の泡がうまく形成されず、容積が大きすぎると水の沸騰に支障をきたす恐れがある[9]。
ニューヨーク・マンハッタン区アッパー・ウエスト・サイドにあるスーパー「ゼイバーズ」では、約4ドルでプラスチック製の柄と金属製の胴を持つジェズヴェを購入することができる[9]。
飲み方

トルココーヒーは以下のように飲まれる[4][10]。コーヒーを飲み終わった後には、カップの底に残るコーヒー粉の形状から占う「トルココーヒー占い」が行われる[7]。
- ジェズヴェに約6-8グラムのコーヒー粉、角砂糖を1-2個、約60-100ミリリットルの水を入れてかき混ぜる。
- ジェズヴェを火にかけて煮立たせ、泡を残した状態でカップに注ぎ入れる。
- コーヒーの粉がカップの底に沈むのを待ってから飲む。
名称
ジェズヴェ(cezve)という名称はアラビア語のアラビア語: جذوة(jaḏwa)からの借用語であり、それぞれ「長い柄を持つ小さなコーヒーポット」を意味する[要検証 ][9]。トルコ以外の地域ではjezveやčezveと綴られることもある<[11]。東スラブ語群のウクライナ語とロシア語ではджезва(IPA: [ˈturkə])と綴られる[9]。ボスニア語、セルビア語、モンテネグロ語、クロアチア語、スロベニア語、スロバキア語、チェコ語などの南スラヴ語群では、長い柄付きのコーヒーポットがdžezvaと綴られる。日本語で呼ばれることがあるイブリックとはトルコ語で細い水差しのことを指す[2]。
ギャラリー
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ジェズヴェとコーヒーカップ
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トルココーヒーのセット
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トルココーヒーに用いる食器
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ジェズヴェを煮立たせているところ
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2人分のトルココーヒー
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さまざまなジェズヴェ
脚注
- ^ (英語) Arabic in Context: Celebrating 400 years of Arabic at Leiden University. BRILL. (6 June 2017). pp. 319-320. ISBN 9789004343047
- ^ a b 実は知らないトルコ・コーヒーの事実 Coffee Mecca、2016年8月20日
- ^ a b イブリック コーヒー用語辞典
- ^ a b c d トルココーヒー JP-TR / 日本-トルコ
- ^ 第11話「世界最初のコーヒーハウスはどこの国?」 倉敷珈琲物語
- ^ イブリックの淹れ方 手焙煎珈琲専門店 BanCa
- ^ a b トルコ式コーヒー UCC
- ^ a b c Turkish Coffee Pots Turkish Coffee World
- ^ a b c d Basics Tamu [リンク切れ]
- ^ Turkish Coffee How To Brew Coffee
- ^ Names and etymology Tamu [リンク切れ]
外部リンク
- Cezve Tamu
- ジェズヴェのページへのリンク