シルクロード、逮捕と裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 14:03 UTC 版)
「ロス・ウルブリヒト」の記事における「シルクロード、逮捕と裁判」の解説
早ければ2009年にウルブリヒトは法執行機関を避けるためにTorとビットコインを使用するオンラインのブラックマーケットを設立するアイディアを検討していた。Torはデータを暗号化し最終目的地に到達する前にIPアドレスの匿名化を行う中継サーバーを通じてインターネットトラフィックをルーティングするプロトコルである。Torのサイトとして自身のマーケットをホスティングすることで、ウルブリヒトはIPアドレスを隠すことが出来た。ビットコインは暗号通貨であり、全てのビットコインのトランザクションはブロックチェーンのログに記録される一方で、ユーザーが自身のオンライン上の「財布」と身元の紐づけを避ければ、かなりの匿名性で取引を行うことができる。 ウルブリヒトはシルクロードのログインに「ドレッド・パイレーツ・ロバート」を使用した。しかし、そのアカウントを使用していたのは彼だけだったのかは論争になっている。ドレッド・パイレーツ・ロバートは、シルクロード・マーケットプレイス創設のインスピレーションは「サミュエル・エドワード・コンキン3世の作品と『Alongside Night』」のおかげと考えていた。 ウルブリヒトは「Good Wagon Books」のサイドプロジェクトとして2010年に自身のオンラインマーケットプレイスの開発に着手し始めた。彼はまたシルクロードの運営中に散発的に日記をつけており、最初のエントリーでは開設前の自身の状況を述べ、彼は自身のベンチャーを通じて2011年を「繁栄の年」にするだろうと予測した。ウルブリヒトは自身のLinkedInページの記述においてシルクロードについても言及している可能性があり、そこでは「人類の弾圧政治と攻撃の利用を廃止する手段としての経済理論を用いる」ことが自身の望みだとし、「私は組織的な力の行使がない世界に住んでいるような直接的経験を人々に与えるための経済的シミュレーションを作っている」と主張した ナサニエル・ポッパーはシルクロードの創設はウルブリヒトが大学後の事業の失敗で貯蓄の大半を使い果たしてしまった後の「自暴自棄」の行為によるものだと述べた。ウルブリヒトは逮捕前にサンフランシスコに移っていた。 2013年中頃、シルクロード事件にDEAと共に取り組んでいたIRSの調査官ゲイリー・アルフォードによりウルブリヒトが最初に「ドレッド・パイレーツ・ロバート」に接続したことが突き止められた。2013年10月、ウルブリヒトはサンフランシスコ公立図書館のグレン・パーク分館でFBIに逮捕され、サイトの背後にいる「支配人」だと非難された。 逮捕時にサイトの運営に用いていたノートパソコンのデータをウルブリヒトが暗号化または削除するのを防ぐために2人の捜査官が口論する恋人同士を装った。彼らが十分に彼の気を逸らした時に、第3の捜査官が彼のコンピュータを持ち去り、USBフラッシュドライブを挿入し、ハードドライブの全データを複製した。クリス・ターベル捜査官がウルブリヒトに逮捕状を提示した。 ウルブリヒトは資金洗浄、コンピュータハッキング、麻薬の不正取引の共謀及び殺人の周旋の罪に問われた。殺人周旋罪は起訴から排除されたが、証拠はウルブリヒトの判決に含まれていた。2015年2月に陪審員の審理が終了した後ウルブリヒトは残り全ての罪で有罪評決を受け、2015年5月29日に仮釈放無しの終身刑が言い渡された。 検察官は6件の嘱託殺人契約の内1件も起こらなかったと考えていた。1件の殺人周旋罪はメリーランド州で行われる分離裁判で処理されることになり、他の5件は提出されることはなかった。
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